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背中に掛かった重さに眉を顰める。肩に回された腕は紛れもなくアイオロスのもので私は堪らずため息を吐いた。彼がこうなってしまえば気が済むまで離してくれないのだ。たとえ私が仕事をしていても家事をしていても本を読んでいてもお構いなしだ。


「ちょっとー…私仕事してるんですけど?」
「…私よりも仕事を取るというのか」
「じゃあアイオロスは自分の仕事より私を取ってくれるっていうの?」
「愚問だ」


そう言って肩に顔を埋めるアイオロス。これは何を言っても埒があかないと判断した私は彼の好きにさせてあげようと思った。書物を閉じると、アイオロスの腕から何とか抜け出して、仕事用の机からベッドの上へと移動した。


「はい、こっち」
「なまえ…」


両手を広げてアイオロスを見れば彼は泣きそうな瞳を私に向けた。私は、知っているのだ。普段私に寄りかかろうとしないアイオロスがこうやって甘えてくるときは本当に大変な思いをしている時なのだと。いつもみんなから頼られて、期待されて、それに応えようとするからふとした瞬間に疲れ果ててしまう。そして私に擦り寄ってくるのだ。


「どうしたの?来ないの?」
「いや…」
「何よ、はっきりしなさいよ」


もう少し優しく甘やかしてあげればいいのだけれど。残念ながら私はその方法を知らない。ぶっきらぼうに言い放てば、さっきまで歪んでいた瞳に少しだけ穏やかさが戻った。ゆっくりと私を抱きしめるアイオロスの背に腕を回せばそのまま優しく押し倒される。全身で感じる彼の体温に何だか私まで泣きそうになってしまった。

そして0センチメートル

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