「なまえ、誕生日おめでとう。」
「ありがとう。
…………これアルコール何度?」
「強すぎたか?」
「私にはちょっとキツイかも…
せっかく選んでくれたのにごめんなさい。」
「気にするな。
確かに初めての酒にこの度数は高かったかもしれん。」
「んじゃあこうすりゃ良いんだよ。」
ひょいとカノンがグラスに氷を入れる。
カランっと軽快な音をさせ氷が水面を漂う。
「あー?!
ちょっ、ワインに氷を入れるとか何考えてんだよ!」
「うわっ、そんなに怒鳴るなよ。」
「ワインに氷なんて入れて…」
「存外珍しい事でもないのですよ。」
おつまみを差し入れに来たムウとアルデバランが苦笑しながら皿をテーブルに運ぶ。
ワインによく合いそうなチーズや生ハム、野菜のテリーヌが宝石のように光る。
「古代ギリシアではワインを水で割るのはオーソドックスだったんです。
だから飲みやすいように氷を入れるのも良いんじゃないでしょうか?」
「酒に限らず、食事は楽しく美味しく頂けるのが一番だ。」
「やっぱ良いこと言うよな、アルデバランは。
なまえ、飲みやすくなったろ?」
「……うん。
これなら私にも飲めそう。」
「なまえ、何も酒そのもので飲まなくとも、酒を使った料理だってあるぞ。」
アイオリアとシュラが可愛らしいラッピングが施された箱を差し出す。
開けてみろと促され開封する。
中からはラッピングに負けないくらい可愛くデコレーションされたチョコレートとパウンドケーキが出てきた。
「可愛いっ。
これ二人が選んだの?」
「いや、それが星矢達にもアドバイスをもらって…」
「受け取ってもらえるか?」
「うん。
嬉しいわ。」
「チョコレートにはウイスキーが入ってるし、パウンドケーキはブランデーが入っている。
これなら無理なく食べられると思って。」
気付けば私の周りには皆からの贈り物がズラリと並んでいた。
なんて素敵な誕生日パーティーだろう。
「なまえ、大人の仲間入りおめでとう。
背伸びをせず、君らしい素敵な大人になってね。」
「酒に限らず何事も無理をせずにな。
大人というのは表面的な事ではない。
しかしなまえとこうして飲み交わせるのは嬉しく思う。」
「アイオロスさん、サガさん…
私、頑張って素敵な大人になりますね。
ありがとうございます。」
お酒にか雰囲気に酔ったのかは知らないけど、今凄く楽しい。
皆が言ってくれたように素敵な大人になろう。
ありがとう、大好きな人達
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