「なまえ、今晩の予定は空いているだろうか?」
いつも通りの綺麗な笑顔でサガさんが問う。
今日の晩、今日の晩は…
「はい。
晩御飯を食べる予定しかありませんよ。」
「夕食はもう作ってしまったかい?」
サガさんの後ろからやはり楽しそうに笑うアイオロスさんが顔を覗かせた。
何故こんなにも楽しそうなのだろうか?
「まだ作ってませんよ。」
「良かった。」
「ならば私達と食べないかい?
皆で料理も作るんだ。」
「良ければなまえを招待させてくれ。」
「本当?
嬉しいです。
あ、でもお手伝いしますよ。」
「なまえは良いんだよ。
今日は手伝いはなし。」
え…?
突然どうしてだろうか?
何かあったかな…
「あ。」
「どうかしたかい?」
「もしかして私の誕生日祝い、とかですか?」
「ふふっ、もしかしなくてもそうだよ。」
「せっかくなまえがハタチになるんだ。
祝わせてくれるよね?」
「うわぁ…
スッゴく嬉しい。
こんなに素敵な誕生日プレゼント他にないです!」
今晩が楽しみ!
こんな幸せで良いのかしら?
「なまえ、誕生日おめでとう。」
「ありがとうございますっ。」
「ほら、主役がこっち来い。
今日の料理はこのデスマスク様が腕に縒りをかけたんだからな。」
「ふっ、私達も手伝ったよ。
なまえ、たくさん食べてね。」
「はいっ。
ありがとうございます。」
「いやいや、今日のメインはこっちだろ。」
ドンっとミロがテーブルに瓶を置く。
可愛らしいラベルの割に重厚な色。
それに書いてある年代を見て思わず叫ぶ。
「それ?!」
「そう、なまえの生まれた年のワインだ。
私とミロで探してきたんだ。」
「当たり年で甘いやつを選んできたからな。
なまえもきっと気に入ると思う。」
「ありがとう、ミロ、カミュ。」
「さ、飲んでみてくれ。」
カミュがどこからか取り出したグラスにワインを注いだ。
深い赤が葡萄とアルコールの匂いを振り撒いてグラスに落ち着く。
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