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その後カノンは気を利かせて再び出掛けて、今は私とサガの2人きりだ。
彼は先程本の角が当たった額を冷やしている。
ちなみにタンコブが出来るほどではないけれど、見事に赤くなっていた。
うーん、かなり痛そう。私が投げた本があれほどまでにきれいに当たるとは思っていなかったからあの時は驚いちゃったよ。






「ごめんね、サガ。」

「いや……私の方こそ済まなかった。だが、なまえがあんなに小宇宙を高められるとは思わなかった。」


うん。
それは私もビックリした。
だけど、こうもうまく行くとは……ひそかに練習した甲斐があった。
だってほら、ごく稀にではあるけれど、黒いサガが出てきてしまう事があるから修得しておくにこしたことはないかな、と。
だけど、さすがにサガ本人にそんな事を堂々と言うのも憚られるので乾いた笑いを浮かべていたら、彼はその大きな掌で顔を覆ってしまった。
どうしたのか、どこか痛むのかと問おうとしたその時、ともすれば聞き逃してしまいそうな程の小さな声で彼は呟いたのだ。







「…弟だけでなく無機物にまで嫉妬するなど…………私は何と心の狭い男なのだろうか……。」




え、ちょ……っ!
なんか…精神的にダメージを受けているみたいな時に不謹慎なんだろうけど……そんなサガがなんだか可愛いと思うのは私だけでしょうか?

て言うか、ゲームにまでヤキモチ妬いてたなんて知らなかった。




「ねぇサガ、顔をあげて?」


『私、サガの顔を今日はあまり見てないから』と告げると、彼はそろそろと顔を上げたのだけど、その白い頬はまるでリンゴのように赤く染まっていた。



「…笑わないのか?」

「どうして?」

「いい歳をしてゲームにまで嫉妬をするなんて…」


子供でもあるまいし、と俯き加減にそう呟いたサガの頬を両手で挟んで上を向かせると、チュッと音を立てて彼の唇にキスをした。
それはほんの一瞬だけど、唇を離してからサガの綺麗な瞳をしっかり見つめながら、自分の気持ちがしっかり伝わるように話し始めた。





「ねぇ、サガ。私は嬉しいんだよ。」

「嬉、しい……?」

「うん、ヤキモチ妬いてるのって私だけかと思っていたから。」


だって、サガは聖域の要職に就いているのだから、女性と接する事も多々ある。
いや、もちろんサガを信じてはいるんだけどね。


それに、サガは『無機物にまで嫉妬するなど』って言ったけど、それを言ったら私だってそうだ。
彼は仕事熱心だから、休日にも幾らか仕事を持ち込んで自宮で進める事が多い。
そうなると、それが終わるまでの間は極力声をかけないようにするわけだけど、そんな時にはサガの視線を独占している書類にまで嫉妬をしているのだ。



それを話したらサガは目を丸くしていたのだけど、その直後に今度は私の目が奪われるほどの綺麗な笑みを浮かべていた。
安心したようにも嬉しそうにもみえるその笑顔はサガと付き合うようになってから初めて見た。
……サガってば、こんな笑顔も出来るんだと、思わず見惚れてしまった私でした。













怪我の功名?



(後でカノンの手当てもしてあげないとね)
(…………)
(何でまた黒サガになるの!?)

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