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「なまえ、好きなだけ泣いていけ。
思いっ切り泣いて、すっぱりケジメを付けてしまえ。」

「ああ、そうして次の恋をすれば良い。」

「……うん。


私、きっと次の恋で最後にするわ。
私が愛した分、愛してくれる人を選ぶの。
もっと私が私でいられる人を選ぶわ。
こんなに辛いのも、悲しいのも、泣くのも、もう嫌。
嫌いではなく愛してると言わせる女になる。
私、もっと可愛い大人の女になる。」



ポロポロ涙が止まらない。

溢れ出す涙も感情も止められない。

押し込めていた気持ちが涙と一緒に流れる。


カミュは優しく涙を拭う。

ミロは頭を撫でる。

そうよ、男はアイオロスだけではないのよ。

大丈夫、恋をした分だけ女は強く、可愛く変われるって誰かが言っていた。

私もきっと次の恋はもっと上手に出来る。

好きな人に嫌いだなんて言わせない。

そんな素敵な女になるの。





「なまえ、」



背後から聞こえた声に体が強張るのが分かった。

私の好きな声。

でも今は一番聞きたくない声。



「何しに来たんだ、アイオロス。」

「……………」

「今取り込み中だ。
悪いが帰ってくれないか。」



お願い帰って!

まだ私は貴方にどんな顔をして会っていいのか分からない。

こんな泣き腫らした顔を見せたくない。

せめて思い出の最後はもう少し綺麗に終わらせて。



「なまえに話がある。」

「私にはない!
お願いだから帰って!
帰ってよ!」

「なまえ…」

「これ以上私を嫌な女にしないで!
帰って!」



カミュにしがみついているので顔は見えない。

私から見えないならアイオロスも私の顔は見えないだろう。

お願い…!

これ以上惨めにしないで!



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