「なまえ、頼みがあるんだけど。」
教皇宮で調べ物をしていた私にアイオロスが声を掛けてきた。
ニコニコと人当たりの良い笑顔だ。
「私でできる事なら…
どんな事?」
「リフォームだよ。」
聖域に来て初めてとも言えるのではないだろうか。
本職の内装デザインの仕事!
今、聖域でしている工事の統轄はプランナーの仕事の範囲だけど、私の本職は内装とインテリアの方。
これがテンション上がらいでか!
「どこの!?」
「私の人馬宮だよ。
どうかな、頼めるかな?」
「とりあえず状況を見てから。
でも一応本職だからね!
大概の事はできるよ。」
「良かった。
それじゃあこれから時間は?」
「探していた資料も大体あったし、今日は休暇だわ。
このあとはフリーよ。」
「そうか!
ならばこれから行こう!」
私をひょいと持ち上げ走り出す。
訳が分からずいるとさあ着いた、とアイオロスの声で我に返った。
「なまえ、人馬宮へ着いたよ。」
「………もうね、どこからつっこんで良いか分からないし、つっこむ気力もないわ…」
呆れてため息が零れる。
俵抱きにされなかっただけマシということにしておこう。
「こっちだよ、なまえ。」
「引っ張らなくても歩けるわロス。」
ぐいぐい引っ張られてメインの広間へ出る。
いつも思うのだが、どこの宮も居住区以外は割とひんやりしている。
人が生活するスペースではない以上、石造りはその性質上空気が冷えるからだ。
その温度の低さの為か、十二宮は神聖な雰囲気が一層高まる。
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