鬼道くん、鬼道くん、鬼道くん。待って待って、逃げるなよ。振り向いたあんたの口がぱくぱくと動いたのを確認してから、夢が泡のようになって消えてしまった。なんと言ったんだよ、ちゃんと言ってから消えろよバーカ。
「と、いう夢を見たわけ」と言う不動の声は平淡だ。何の目的でこんなオチも何も無い夢の話をしてきたのか。「で、何を聞きたいんだ?」と早めに降参して鬼道は真意を尋ねた。「鬼道クン、結局最後なんて言ったんだよ?」分かっているだろうに、お前の夢の話のことなど知るよしもないのに、そんな事言う彼が馬鹿馬鹿しくて愛おしくて「結婚しようって言ったんだ」と言ってやれば、してやられたという表情の君が夢の中で泡になって消えた。


どっちも夢

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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