※ツイッターの“歩きタバコはハッテン場以外でのゲイに対するセックスアピール。ポイ捨ては「 やらないか」のサイン。』って説を流しまくったら歩行喫煙減るんじゃねえの。”というのが本当だったらという話
※社会人鬼道(ノンケ)と大学生不動(ホモ)





バイトが終わってから直ぐに携帯を取り出した。最近バイトとレポートとか色々と立て込んでいて、セックスしてないからむらむらする。
誰かいないかと心当たりあるやつに連絡していくが、残念なことに誰も空いてなかった。バイトが終わったのが12時過ぎだから、普通の人間なら学業や仕事を終えてベッドで睡眠を取っている。
ムラムラが段々とイライラに変わってきて、我慢できずにタバコを一本取りだして火を付けた。あんまり煙草は好きじゃないけれど、吸うと多少は苛立ちが軽減されるから吸っているだけ。呼吸に合わせて消えそうな光は少しだけ明るくなったりまた消えそうになったりを繰り返した。
なにか知らない建物の壁に寄りかかって街を眺めていると、ちらほらと人影が歩いて、たまに車が通っていた。何も面白いことは見つからなくて、携帯用灰皿で煙草を片づけてさっさと家に帰ろうと、不動は身体を壁から離した。
溜息を吐いて、数歩歩き出すと向かい側から見たこと有る光が鼓動を打つように光っていた。煙草だと認識したら、思わず顔を確認する。スーツ姿の若く髪の長い男がゆっくりと歩きながら煙草を吸っていた。綺麗な顔で不動は迷わずに接近する。

「ねぇ、暇?暇ならホテル行こうぜ、お兄さんの顔俺タイプ」

にんまりと笑みを浮かべながら不動が声を掛けると、相手は一瞬固まってそして直ぐに怪訝そうな顔になった。整っていた顔の眉間に皺が出来た。近くで瞳を見ると赤いのがなんとなく分かって、さらに綺麗な顔だと思った。だから怪訝そうな顔も眉間の皺も気にならない。
腕に腕を絡めて甘ったるい声を作って「俺の顔タイプじゃない?別にお金とかは出すからさ、一回だけで良いからさ」っと不動が言い寄ると「俺は男だ」と言って男は不動の腕を振り払った。

「煙草吸ってたから、あんたこっちのヒトだろ。」
「こっちとはどっちだ?」
「・・・・まさか、ノンケかよ」

たまにあるけど、このご時世に知らないで普通に道で歩きながら煙草を吸っているヒトがいる。最近は知っているヒトが多いし、条例とかでも取り締まられているから滅多にノンケは煙草を街で吸うヒトは少ない。だから、こいつもゲイだと思っていたし、タイプだったからこっちのニンゲンであって欲しかった。
不動は肩を落として、鬼道から距離を取った。「どうかしたのか?」と急に潮らしくなった不動を心配したのか男が声を掛けてきたが気落ちして「大丈夫、大丈夫」としか不動は言えなかった。

「あんた、歩き煙草は止めた方が良いよ。俺みたいなヘンナ、アブナイヒトが寄ってくるから」

そう言ってから次を探すのを諦めて家に帰ろうと不動は歩き始めた。ちょっと待て、と後ろから呼び止められて不動はふり返った。

「何、シてくれんの?」
「何をだ?さっきから俺はさっぱり話がつかめてないんだ、説明してくれ」

真剣に聞いてくるから、一般人に話して良いものか悩んだが“歩きタバコはハッテン場以外でのゲイに対するセックスアピール。ポイ捨ては「 やらないか」のサイン”ということを話せば、一瞬驚いた顔をしたが、鬼道は苦笑すると煙草をもう一度吸い直した。随分と煙草は短くなっている。一回鬼道が息を吐くと、白い息が出来た。
「随分と長く生きてきて色々知っているつもりだったが、そんな意味があるとは知らなかった」と愉快そうに鬼道が言うのを不動は黙って聞いていた。独り言のようで話しかけているみたいな口ぶりで、立ち去って良いのか分からずその場に残った。

「セックスは出来ないが、お茶くらいなら相手をできる」
「それはどうも」

煙草を携帯灰皿で片づけて、鬼道は笑った。別に自分は“彼”のような人間ではないが、彼が俺の顔がタイプだと言ったように、俺も彼の顔が綺麗だと思ったから、彼という存在に興味があった。とりあえず、今は彼の名前が知りたくて仕方がない。














RTで廻ってきた瞬間にきどふどで書きたいと思ったので。

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