※全国大会終了後捏造です






お疲れ様、大変だったな、そんな会話をしながらみんなで打ち上げをして飲んだり食べたりして、革命が終わった初めての夜が来た。
中学生だから夜中まで店で遊ぶことは出来ないから、完璧に暗くなる前に店を出る。お疲れ、と何度今日聞いたか分からない台詞を輝に言って手を振って別れて、自分の家へ帰ろうとすると「天馬」と名前を呼ばれた。
今日久々に下の名前で彼に呼ばれたから一瞬反応が遅れて「つ、剣城」と言葉が詰まった。

「一緒に帰るぞ」
「うん」

決定済みみたいで決定権は無いような言い方だけれど、剣城の言葉は柔らかで威圧感などは無い。並んで歩く。
いつものことだけど余り剣城は話さない。天馬が一方的に話して、それに相槌を入れるくらいだ。だけどたまに短い言葉だけど話してくれ、しっかりと話しを聞いてくれているのが分かる。大会のことをふり返るように、天馬は話を遡りながら1つ1つ思い出を懐かしむように話した。
「剣城は最初は敵で怖い奴だと思ってたけど、仲間になってくれたら本当に頼もしくて格好良かったよ。今思えば一緒にファイヤートルネードを蹴るなんて思っても寄らなかったよね!」そう言ってから、ふと思い出して天馬は「ごめん」と謝った。

「なにがだ?」
「最初、剣城の事全然知らなくてお兄さんの事も知らなくて、何も事情知らなくて・・・剣城のことちゃんと分かってなかった」

今でこそ革命が成功して、お兄さんの手術費用も誰かが出してくれたから良いけど、もし革命が成功しなくて剣城も好きだったサッカーが出来るようになったけどサッカーまで出来なくなって、お兄さんの脚も治らなくなっていてしまっていたら。そう考えるだけで、自分は本当は自分勝手に周りを巻き込んでしまっていたのでは無いかと不安が戻ってくる。

「泣くな、終わったことだ。革命は成功した、何も悪いことは起こっていない、それで良いだろ」

泣くのを必死に堪えていたのに、剣城がそんな優しいことを言ってきたから逆に止めていた涙が溢れてきた。ごめん、ありがとう。その二言を繰り返すことしか天馬は出来なかった。
呆れたように剣城は苦笑して、抱きしめた。滅多に外でこんなことはしないけれど、今日だけは特別だ。明るくチームを引っ張ってきてやつだけど、自分が知らないだけで知らないところで悩んだり泣いたりして頑張ってきたんだろうから、全てが終わった今くらいは甘やかして褒めてやる。今、こうやってコイツが泣いているかわりに俺が笑えるようになったお礼も込めて、抱きしめた。

「今日は・・・剣城、な・・・んだか優し・・いね」

泣いた後だから言葉を詰めながら天馬はそう言って笑った。気のせいだと言ってから、剣城は抱きしめるのを止めて離れた。
また明日からは、もうこうやって誰も悲しまないでサッカーが出来るのだから、またこうやって彼が泣くことは無い。何度聞いて言ったか分からない、お疲れ様、を小さく呟いた。















迷路さんリクエスト:京天で天馬が泣く話
天馬が泣くって結構難しくてありきたりになりました。すみません、リクエストありがとうございました。

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