惑星のあした/基山×緑川(24)



ベランダに2人で出た。彼は何も持たずに空を見上げて、俺は図鑑を手に持って空を見上げた。そして直ぐに彼は空に向かって指を指した。その指は怖ろしいほど透き通っていて、真っ暗な夜空には浮いて見えた。ほら、あれが双子座だよ。俺にはそれが何故分かるのか理解不能だ。だってそらには同じように綺麗な星達がひしめき合っていて、どれも同じくらいに綺麗に見えるのだ。
どれ?ほら、あそことあそこのやつで双子座。わからない。図鑑広げてみて、ほらこれだよ。あ、あれか。
指で図鑑をなぞって、同じ指で再び夜空と星を指して貰ってからようやく分かった。なるほど、これが双子座か。

「よく図鑑見なくて分かるな」
「昔よく絵本代わりに星の図鑑を見てたんだ。緑川が諺辞典を読んでいたみたいにね」

ほら、あれが大熊座。これが蠍座。そう良いながら説明して貰うと次第に何となくだけれど星座とただの星の区別が付いてくる。
エイリアはどこに有るのかな?地球に落ちてきたんだからきっとどこかに有ると思うよ。誰も見つけてないなら俺達で見つけたいね。そう言うと、ヒロトも「そうだね、見つけようか」なんて言ってから「望遠鏡をまた出そうか」と提案してきた。部屋の棚に飾られてすっかり観賞用になってしまっている望遠鏡を見た。昔と変わらない。

「晴矢と風介も呼ぼうか」
「そうだね、みんなで昔みたいに天体観測してエイリア星を探そう」

それも良いけど、寒いね。じゃあ、そろそろ中に戻ろうか、風邪引いたら大変だよ。そうだよ、社長が倒れたらどうするんだよ、俺一人じゃ対処できないからな。
緑川の肩を抱いてから部屋の中に戻ると、温かい空気に直ぐにつつまれた。一瞬だけふり返ってからもう一度夜空を見た。その一瞬を見計らったように、1つの星が光った。あれがエイリア星かな。


タイトル by自慰
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