一応神童×狩屋だけど霧野×狩屋も含みます





廊下で2人を見かけた。仲睦まじそうに歩いていた、いつもの光景。あの霧野先輩が笑っていて、キャプテンの背中を軽く叩いたりしたりしていて、とても楽しそうだ。本当に四六時中一緒にいるんじゃないだろうか。そう思うとなんだかイライラする。2人の世界ってやつを壊したくなる破壊衝動のままに2人に近寄っていった。

「せーんぱい方、こんにちわ」

どんっと軽くぶつかって、何だと驚いた表情で2人が殆ど同時に振り向いた。挨拶をすれば霧野先輩は少し苛ついた顔をしたけどキャプテンは苦笑しながらも「狩屋か、どうしたんだ」と言って笑いかけてくれた。本当に正反対の対応。
「先輩方が見えたからただ声をかけただけです」と言えば、「狩屋は良いやつだな」とキャプテンは優しく笑みを返してくれた。キャプテンは優しい、そして俺とは正反対で感情をとても素直に表す、そして嘘が下手だ。これは、霧野先輩を観察ついでに気付いたことだったが、だから好かれているんだと思うしかない。恐らく、キャプテンは仲睦まじく話している邪魔をしたかったなどこれっぽっちも考えることなく、今俺に笑いかけていてくれるはずだ。

「話し相手がいないから俺達に話しかけてきたんじゃないのか」
「霧野先輩は黙っていてくださいよ」

牙をむいて喉を鳴らし威嚇している猫のように狩屋が睨み付ければ、霧野はぎろりとにらみ返した。神童と話していたのを邪魔されたのが気にくわない。一瞬だけだったがにらみ合っていると「2人は本当に仲が良いんだな」と神童はその様子を見て嬉しそうに言った。

「どこが仲良さそうなんだ?」
「いつも話しているだろ。俺は余り狩屋と話したことがないから羨ましいよ」

そんなことを言われて、何故だかドキッとした。遡ってみれば、なんで2人の邪魔をしたかったんだ。
顰めっ面の霧野が反論しているのを神童が苦笑しながら会話してるのが見えるけれど、狩屋の視線は神童の方ばかりを向いていた。その目に映るのは大抵が霧野先輩で俺のことなんかたまにしか見てくれていないとか思っていたが、そんな風に思われていたなんて意外だった。いや、もしかしたら霧野先輩のついでに俺を見ているのかもしれない。霧野先輩と話している俺に嫉妬してる、と考えると不快だ。
神童の手が霧野の頭を撫でた。霧野は嬉しいけど恥ずかしいという複雑そうな表情をしているが、今はそんなことはどうでも良かった。その撫でている神童の手が狩屋は気になった。意外とごつごつしていて男らしいんだなと思いながら見つめていると何を思ったのか「狩屋も撫でて欲しいのか?」と言って優しく霧野にしたように神童は狩屋の頭を撫でた。

「え、ちょっと、止めてくださいよ」
「すまない、嫌だったか」
「そう言うんじゃなくて、」

天然な神童の対応に悪態も吐けず四苦八苦している狩屋を見て、霧野がにやにやと笑っていた。
ついには何も言えずに狩屋は言葉を飲み込んで俯いた。どうかしたのかと心配そうに顔を覗き込んでくる神童の顔が近くて、パチリと視線が重なってしまった。睫毛が長いのは知っていたけれど、本当に狩屋は綺麗な綺麗な瞳をしていた。目があったのは一瞬で直ぐに目線をそらされて「こっち見ないでくださいっ」と焦った様子で言われて、どうしたものかと思いながらも狩屋から離れて距離を作った。

「狩屋は神童が苦手みたいだな」

と霧野がいうと「そうだな」と神童も寂しそうに苦笑した。
苦手といわれたら苦手なんだろうけれどもそういう意味の苦手じゃないんですとついつい口走ってしまった。「じゃあ、どういう意味なんだ」と聞いてくる辺り霧野先輩って意地が悪いし、真剣にこちを見てくるキャプテンは狡い。









匿名さんリクエストで【狩屋受け(神童か霧野)】
二股?的話書くの初めてで結局どっちオチかわからなくなりました。
リクエストありがとうございました。

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テーマ「人外ファンタジー」
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