ドアを開けたら恋人がいた、そこまではなんら問題はなかった。問題は入ってから次の瞬間に「あのね、今日は新しい下着なんだ」と言って、脱ぎだしたことだ。わざわざ脱ぎやすい服、今回は上に着ていたパーカーだけ、でジーッとチャックを降ろすと上半身は既に下着だけだった。制止する暇もないくらいに手際の良さで脱いだパーカーは廊下の方に投げられた。狩屋の好きなビビットで派手な柄のパーカーは床にクシャクシャになって転がった。
やっぱり下着も派手でどぎついピンクに直線の黒で描かれた不思議な柄の下着を見せながら「どう、似合う?」と言って、真っ直ぐに剣城を狩屋の目は見ていた。ここまでわざわざ見せに来るということは、狩屋はそれを相当気に入っているみたいだった。実は、もっとおとなしめの方が好きだとは流石に言えないで「似合っているけど、風邪を引くから上を着ろ」と言って、剣城は床に落ちていたパーカーを拾って狩屋に投げつけた。

「もっと何か言ってくれない訳?」
「俺がそんなこという人間に見えるか」
「全然。言ったら天地がひっくり返るんじゃないかな」

渋々パーカーの袖に腕を通しながら、くすくす笑いながら狩屋は靴を脱ぎ捨てて家に上がった。剣城の黒いスニーカーに蒼いパンプスが並ぶ。
入るやいなやソファーに座って、剣城に隣に座るように促す。それに従うように剣城は御菓子の入った皿と炭酸水の入ったグラスをテーブルに置いてから座った。御菓子の1つに手を伸ばしながら「襲ってくれないの?」と若干上目遣い気味にそれでいて拗ねたような口調で狩屋は言ってきた。
折角新しい可愛い下着をして家まで押しかけたのに、見た目に反して奥手且つ紳士な目の前の人間は「後でな」と言った。「折角かわいい彼女が家まで来てるのに、鶴城くんって本当に男なの」と呆れるように狩屋は溜息を吐いてから乱暴に皿の中の御菓子を鷲掴みにして口の中に放り込んだ。

「玄関でする訳にはいかないだろ。考えて行動しろ」
「直ぐに見せたかったんだよ。あー折角かわいい下着してきたのになぁ・・・ねぇこの下着本当に好き?」

若干心配そうに聞いてくるので、可愛いいんじゃないか、と言えば更に不安そうな声色になって、本当に?と念を押されるように聞かれた。「だって、下着見せたときあまり嬉しそうじゃなかったけど」と言われて、隠していたはずだったがやっぱり少し表面に出ていたらしい。少し黙ってから「どっちかと言うと、もう少し大人しめの方が好き、かもしない」と言えば、やっぱりか、と塩らしい声が聞こえた。横で向けば、脚を抱える形で狩屋が座っている。「剣城クンって大人しそうなふわふわで可愛い子が好きそうだもんね。なんで付き合ってくれているのか不思議だよ・・・・どうせならキャプテンとかの方が好きそうだし、お似合いかも」脚の隙間から愚痴みたいにそんなこと言われて、剣城が今度は不機嫌そうに「別にそこまで言ってないだろ」と言った。
嘘だぁ、と脚の間からまた声が漏れて聞こえる。女って本当にめんどくさい。
剣城は狩屋の青い髪を掴むと脚から引き離し、無理矢理顔を上げさせた。痛いから放せ、と狩屋は暴れていたが暴れた方が絡まったりして痛いと言うことに気付いたのか、抵抗は手だけになる。

「理由とか良く覚えてないが、気付いたら好きになっていたんだ。それで十分だろ」
「・・・臭い台詞」
「言わせたのはお前だろうが、俺だって恥ずかしい」

素早く手を放して、大きな掌で今度は目を隠される。何で隠すの、照れてるの?と聞けば、「そうだ」と言われて、本当に好きでいてくれて本心から言ってくれたのだと分かった。恥ずかしい思いをしてまで言ってくれた御礼に、今度からかわいい下着を付けて上げようか。










ゆうきさんリクエストで京♀マサか天♀マサ
マサキ♀はなんかめんどくさそうなイメージでこうなった。女の子と言えば、下着という下劣な発想すみません。

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