蘭丸が女装男子/高校パロ




好きです。ひらひらの紺のスカートが風に揺られてひらひら、ひらひら舞う。舞うって言っても、風もそこまで強くなくスカートの丈も可成り短いのでそんなに大幅に揺られたりしていない。
先輩の顔は呆れた顔で、あまり気に留めてくれていないようだ。その証拠にコンビニのメロンパンを食べている。
ちょっとくらい感想をくれたって良いのに、先輩はつらまない。自分で言うのもなんだけれども、女装はそこら辺の女の子より可愛い自信は有る。スカートだって前回より短くしてみてより可愛くしてみたのに、せっかく買ったスカート6500円も無駄だ、当初の目的に何一つ貢献してくれなかった。

「何か言って下さいよ」
「はいはい、似合ってるよ、マジで女だったら付き合いたいな」

そう言ってから南沢はコンビニのレジ袋からポッキーを取り出して、霧野に向かって投げた。両手を慌てて広げて紙の箱を受け取る。軽い箱が霧野の掌に鎮座した。
無言で近寄ると、スカートだってことを無視して胡座を掻いて南沢の横に座り込んだ。「お前、スカートだろ」と一応南沢に窘められるが「男ですから」と言ってそのまま座ったままポッキーの箱をべりべりと開けた。
ポッキーを一本摘み出すと、先の方から加えてゆっくりとかみ砕いていく。かみ砕かれたクッキーとチョコが口の中で唾液と混ざって喉の奥へ落ちて消えて消化されていくはずだ。美味しいのに苦いのは、失恋したからか。通算3回目の告白も又ジョークの1つとなって消えてしまった。

「先輩の好きな女の子ってどんな感じですか。今度また服買いに行こうと思っているんですけど参考程度に教えて下さい」
「お前と正反対のタイプってこの前も言っただろ」
「具体的に教えて下さいよ」

考える素振りを見せながら南沢はまたパンを囓った。女の子で可愛い子かな、そう言ってまたパンを囓る。パンには綺麗に囓られた後として歯形が数個出来ていた。
女の子、そう女の子。所詮は自分は男でしかなくて、どんなに顔が可愛くても可愛い服で着飾っても無い物は有る、有る物が無い男であって、どんなに足掻いても先輩に恋愛対象で見てもらうことなんて無いのだ。少なくとも今は。

「可愛いのだったら、ゆるふわ系とか極めてみましょうか。どっちかって言うとパンク系の方が好きなんですけど、先輩がどうしても見たいって言うなら一式買いますよ、メイクも代えてみます」
「誰も一言も頼んでねぇよ」

苦笑しながらそう言う貴方の声が好き、表情が好き、仕草好きだなんて言えるわけがない。
気持ち悪いことを言ってしまいそうな口を塞ごうと、小さくなったポッキーを一気に口に押し込んで、また一本を親指と人指し指で摘み出した。ポッキーを摘んでいる指を見るとまた太くなっているように見えた。思い過ごしかも、だけど本当に太くなっているのかも。
指だけじゃない、身体だってもっと身長が伸びて骨が太くなって筋肉が付いて、きっと可愛いって言ってもらえるのはそろそろ終わりで潮時なんだろうな。可愛い服だって似合わなくなるし、メイクしたって似合わなくなるし、きっと『好き』だけではなくて『可愛い』とも『似合っている』とも次第に言われなくなる。だから今の内に好きになって貰いたいのに、南沢の態度は変わってはくれなかった。

「一本くれ」
「どうぞー。ってか、普通に食べてしまってたんですけど、これ先輩のポッキーですよね」
「気にするな、貰い物だから」

南沢の指が伸びてきて、ポッキーをまた1つ袋から抜き出した。
ポッキーを抜き出すときに、視界に入った霧野をもう一度まじまじと観察する。本当に女みたいだ。女ではないのがもったいない。
「そういえばこの前、今来てる服を買いに街に行ったらまたナンパされたんです。他の男なら楽勝で落ちるのに、なんで先輩は俺を好きになってくれないんですかねぇ」そんな話を霧野がふて腐れた口調で投げかけてくる。「女だったら普通に俺だって霧野と付き合ってただろうな」と言ってやれば、霧野は黙り込んだ。
そう、女だったらよかったのに。











有吹一也さんリクエストで南蘭で高校パロ
女顔を楽しんでる蘭丸って面白いかなって思って、勝手に女装男子に蘭丸をしてしまいました。

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -