蘭マサ、蘭南前提なので注意
月山戦後




現れた水色の髪の人間を、どこか似ているような気がしたのは気のせいではなかった。小柄でちょっと捻くれた性格で、やっぱり自分と似ていると思う。そして、やっぱりこんなタイプが好きだったんだな、とも。「急に呼び出したりしてすみませんね、南沢さん」声は似ていない。
ひっそりと陣取ったファストフード店の隅の席に、隠れる様にして2人で向かい合って座った。「霧野先輩と今、付き合ってます狩屋です」隠しているようだけれど見え隠れする反抗的な声色と探りを入れる目線。やっぱり、あいつはちょっと生意気そうな子がタイプだ。「はじめましてだな、多分、昔付き合っていた南沢だ」刺激しないように、最低限のことを言って、とりあえず自己紹介を終わった。

「雷門はどうだ、勝っていけそうか?」
「まぁ、そうですね。革命とか言ってますから、負けるわけにはいきませんからね」
「勝ち続けて貰わなければ俺が出て行ったのも無駄だし、まぁ頑張ってくれよな」

どこから触れて良いのか分からないので、様子見をするようにサッカーの話題を持ち出すと、案外すらすらと会話は出来る。このままサッカーの話題で終わってしまうのかと数分間流れのままにサッカーの話題を続けていると、どこか引っかかりを感じる口調で「あの、」と切り出してきた。「言いたいことがあるんだろ、言ってみろよ」そう言えば、覚悟が決まったのか「キスして欲しいんですよ」と狩屋は切り出した。キス?と繰り返せば、キスです、と念押しするように狩屋は言った。

「いっつも言われるんですよ。キスは南沢さんの方が上手かったとか、そんなことばかり」

憤慨した口調で、愚痴を話すように狩屋は話す。
昔の人のことなんて気にしてないって言ったら嘘になる。月山国光の試合の時の南沢を見る視線は、自分を見るものと酷似していて、腹が立った。

「普通、昔のことを今のやつに話すか、信じられないなアイツ」
「本と、最低ですね」

南沢は溜息を吐いて笑った。そこからは、同じ境遇にあった者同志で意気投合とは行かなくても、霧野の愚痴で話が弾む。昔の話が以外嫌ではなかったのは、南沢の口調があっさりしていて未練とかそんなものが感じられなかったからかもしれない。
そろそろ塾に行かなければならないと言われて、目の前の人物が受験生で霧野から内申を凄く気に掛けていたことを教えられていた。引き留めるわけにも行かないで、2人で店の外に出る。
店を出てから直ぐに「そうだった」と、南沢が何かを思い出したように言った。どうかしたんですか?と聞くと「キス、まだだったろ」と言うと直ぐに南沢の手が伸びてきて狩屋の頭部に触れた。抵抗するとか考えることが出来ないくらいあっという間に終わっていた。
何があったのか情報処理が追いつかなくて何も言うことも動くことも出来ないでいる狩屋を見て、楽しそうに南沢は「どうだった?」と言う。そうすれば、さっきの出来事が感触が鮮明に思い出されて「上手かったです・・・」としか狩屋はいうことが出来なかった。











理奈さんリクエスト:南沢×狩屋
書くの凄く楽しかったです。

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