高校生パロ



くるんと渦巻いている独特な揉み上げを指に絡めて遊んでいると、すぐに手を払われた。ちょっとムッとして京介を睨むと、京介は教科書を見たままでこちらを見てくれさえしてなかった。懲りずにもう一度天馬は揉み上げに手を伸ばす、また軽く払われる、またこちらは見ていない。

「こんな釣れない男のどこが良いんだか」
「さっきから鬱陶しい。今日は勉強する約束だろうが」
「恋人がいるのに手も出せないヘタレなのに、ね、京介」

さっきから、どうもこいつの言動が可笑しい。構って欲しいのはいつもと同じなのだけれど、拗ねたような捻くれた態度。明らかに何かあったことが伺われる。何かあったのかと聞いても「別にぃ」と言って、また髪の毛を弄ろうと手を伸ばしてきた。こんなことは初めてで、どう対応すれば良いのかさっぱり京介は分からない。だから、とりあえずまた伸びてきた手をやんわりと阻止してから、逃げられないようにして向かい合った。

「京介、放してよ」
「お前が何かあったのか話したらそうしてやるよ」

居心地悪そうに目線を下にしている。話せ、だったら放して、の応酬ばかりで、ちっとも話は前進しない。「こんなに意地悪なのに」とかまた変なことを呟いた。怒らせた覚えは無いし、他人から何か言われたのかと何となくだけど推測できてきた。

「何か言われたのか・・・」
「何も言われてないよ。ただ女子が、京介のこと格好いいとか言っているのが有り得ないって思っていただけ」

だってだってクールで冷めているところが良いとか、京介は本当は優しくて温かくて全然良いところを知らない癖に、好きだとか格好いいとか言うなんて、しかもヘタレだし紳士で奥手で全然クールなんかじゃないのに。もごもごと聞き取りにくいけれど、おそらくは大体こんなことを言っていた。
それを聞いて、貶されているのか褒められているのかどっちで判断して良いのか分からずに「俺はヘタレじゃない」と取りあえずそこだけは訂正した。「ヘタレだよ、だって今だって手を出してくれないし」と言ってきたから「今日は勉強会だから我慢してんだよ、ばーか」と言って手を放して、松風の額に少し強めにデコピンを食らわす。手が離れて一人分の体温に戻って、掌がスースーして寂しい。

「勉強頑張って赤点とらなかったら、今度俺に一日付き合ってよ?」
「100点とったら考えてやっても良い」

思い返せば、嫉妬していて寂しくて、だから構って欲しかった。釣れない京介を独り占めしたくて、シャーペンを握りしめて参考書と睨めっこを天馬は再開した。













京天を先に書くとは思ってなかった。京天は少女漫画の雰囲気が強めなイメージ。フォロワさんへ。

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