僕の時間は止まったままだ。そして君も止まったままだった。だから僕らお似合いだよ。
出会ったときに言われたことを急に思いだした。どうしてだろうかと思えば、シュウの服装も今いる場所も出会ったときと全く同じだった。訓練所というまったくもって無機質である場所で、シュウは笑っていたのを思い出した。

「覚えてる?ここで僕らは出会ったんだよ。凄く君が綺麗だったのを覚えてるよ」
「なんとなくだが覚えてる」

くるりと振り向くとにこりとシュウは笑った。綺麗なのはお前だと言いそうになる。
無機質なステージにシュウは駆け上がる。距離が離れ、ステージの段差でシュウは白竜を見下ろした。
「僕はこの世界が嫌いだったんだ」と少し演劇染みた身振りと口調で白竜に語りかける。それから手を伸ばして白竜をステージに引き上げる。また視線が同じくらいに戻った。「どうした、頭でも逝かれたか」と苦笑しながらも白竜はシュウの調子に合わせる。昔会ったときはこうやってお互いに笑うこともなかった。冒頭で述べたように時間が止まっているみたいだった。

「頭は逝かれてないよ。ちょっと感傷的な気分なだけ」
「それなら良かった。ZEROを解散するべきだと教官に進言しなければならないかと思った」
「そこまで言うかな〜」

コホンとシュウは咳払いをして、話の流れを変える。「もう一度言うけど、僕はこの世界が嫌いだった、だから消えても良いかなと思ってたんだよ。だけどこの場所で白竜に会ってからもう少しだけこの世界に居たいと思ったんだ」だから、ありがとう白竜。そう言ってから白竜にもう一度笑いかける。
照れくささを誤魔化すために白竜は「別に俺は何もしていない」とだけ言い返して、ステージから飛び降りた。また立ち上がると、目線はまた違っていた。
ブーツの底が擦れる音をたてながら、白竜はゆっくりと歩き出した。それを追うようにシュウもステージから飛び降りる。

「釣れないな、白竜は」
「じゃあ、結局お前は何が言いたいんだ?」
「君が僕を生かしたんだから、僕は最後まで白竜に付きまとうよってこと」
「遠慮する」

出会った場所は一緒だけれど、会話の内容が全く違う。会ったときはこんなに会話をすることも無かった。この世界は嫌いだけど君は好きだよ、なんて恥ずかしい台詞は言えないけれど、言葉の代わりに体現してこの世界を生きていこうか。









みぃちゃんに捧げます。シュウ白。
凄い書いてて恥ずかしかったです。

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テーマ「人外ファンタジー」
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