鎮守府日誌1

今日も晴天、外に出るにはとても良い一日になりそうです。朝から我が鎮守府も遠征や演習の準備で、忙しなく足音が響き渡っています。
青い海の向こうには、本日も出撃予定はありません。上からの指示や偵察任務が無い限り、外に出ようとしないのは提督の意向であるので、私達も理解はしてます。
しかし、それだからいつになっても昇格機会が無いのだと、先日加賀さんが呆れた様に呟いていました。
提督本人はあまり争い事が好きではないので、それはそれで構わないのだろうと、その隣で赤城さんも笑って話していました。

そういえば申し遅れました。
本日の秘書艦及び鎮守府日誌をつけるのは、私、軽空母千歳です。以前は水上機母艦だったのですが、その経緯はまた別の機会に。
大きく開いた執務室の窓からは、演習を受ける艦娘の方々と、指揮する提督の姿が見えます。
普段は引きこもって開発にばかり明け暮れる提督ですが、いざ私達を指揮するとなると、まるで別人の様に凛とした姿になります。
そういえば、この鎮守府を任されることになる以前、提督は遥か遠くの海で深海棲艦と戦っていた名のある人物であったと聞いたことがあります。
それが何故今、こんな小さな鎮守府に身を置くことになったのか。その理由を知ってるのは、あの方と付き合いの長い一航戦や二航戦、そして第六駆逐隊の方々だけでだそうです。
しかし、私の口から直接提督の過去を聞くはないでしょう。いずれあの方の口から話してくださるのを、ゆっくり待っていようと思います。

今日も波は不安気に音を立てて揺れています。
早く戦いが終わって、全てが穏やかな日々に還れる日が来るまで。
今日も私達は、提督と共にこの鎮守府から一日を迎えようと思います。

以上、本日朝の日誌、千歳からでした。


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