ヒューモアガール


それはとある暇つぶし
黄金色の髪の少女は
鏡の向こうの向こうの世界
引きずりこまれて
しまいましたとさ

「お名前を教えておくれよ 君は誰だい?
アリス?いいや 違うだろう
此処ではそんな名前 有り得ない」

仕方ないと ぼやいて転んで
彼は真っ逆さま 割れちゃった
赤い 赤い 果実をあげるよ
それは あぁ 食べられないわ
滑稽だと笑う花達
ふわふわ飛んでる木馬の虫
あぁ 実に不思議だこと
彼女はそう 笑った

ヒューモアガールは辿り着いた
現実離れした世界
厳しい家庭教師も
とぼけた隣人も
誰もいないのよ
なんだかとっても楽しいわ!

鏡さん ねぇ 鏡さん
アナタの中はどうなっているの
疎らな世界
片翼のあの子が泣いている
黒白黒白 薔薇園の奥
今日も仲の悪い双子
不満があるのならば
飴玉をお一つ用意して

愛を頂戴
どろどろ流れる愛を愛を
抑えきれないそれを私に
私に

ヒューモアガールは辿り着いた
世界の終わりのような場所
喧しい母様も
仲良しの黒猫も
誰もいないのよ
ほんの少しだけ寂しいかもね

太陽が笑ったらおやすみなさい
夢の続きは誰も知らない
覚めるにはまだ早過ぎるけど
進むのには遅過ぎた
彼女は帰れない 本当の在り処へ
彼女はわからない 此処が何処だか
気づいたその時
全て消えてしまうから

救いを呼ぶのが憂いで
憂いを呼ぶのが願いで
本当はどちらも望んでなくて
知らない 知らない
知らない 知らない
知らない 知りたい?
なにを?

ランラララ ルルルラ
ランラララ ルルルラ
ランラララ ルルルラ…

「やぁこんにちは 君は
そうだ いつかの少女
名前は見つかったのかい?
…それは、」

ヒューモアガールは全て悟った
今居る世界が何なのか
砕けた愛情も
柔らかい温もりも
初めから無かったの
そう全ては 彼女の
描いただけの空想
いや、妄想?
まぁ何でもいいのだけれどね

それでは皆さん
また会いましょう
ループの途中でサヨウナラ





×××××××××××××××

夢の中で大人になった少女の話。


[ 42/53 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -