クリアランス | ナノ




弟と喧嘩した。

弟とは同居しているんだが、あのマジギレな怒り方だと向こう一ヶ月は家に帰れないな。俺が無事でも家が大破したら洒落にならん。
家や弟はいいとしても、弟に会わない為には拠点地にも行けないから俺の昔からの憧れであるクロロさんに一ヶ月会えないのはちょっと寂しい。ボディガードの仕事増やして寂しさ紛らわせようかなぁ。

「此処、空いてる?」
「あーはいどーぞどーぞ」

現在、俺の居る場所はお洒落なカフェだ。何かを考える時は家かカフェでが基本な俺は、家が帰れない状態なので当たり前のようにカフェに来た。
目の前の実にイケメンな青年をちらりと確認して何事も無かったかのようにミルク入りのコーヒーを飲む。

「キミ、随分と強そうだね

絡まれた。
俺は億劫なのを隠さず全身で表現しながらも仕方なく顔を上げ、相手の綺麗な顔を見る。口を開く。

「俺の念能力は『塵塵確固魑魅魍魎(アーミーキリングループ)』系統は具現化系。無数の魑魅魍魎を具現化出来る。が、魑魅魍魎は個体でも並の人間なら殺せるとはいえ殺傷力は低いし雑魚の大量虐殺用でタイマンには全然向かない。おまけに制約の関係で具現化出来る数に限りがあるし、今の状態の俺が具現化出来る数は諸事情により二百十五匹ぽっちという貧弱な武装状況だ」
「……何で自分でペラペラ弱点話すんだい?」
「お前が殺気立ってたから。どうだ、興を削がれただろう?」
「かなりね

相手のつまらなそうな顔に、俺は初めて笑い声を零した。
聞いての通り、そんで前に見ての通りの戦闘狂野郎だ。フェイスペイント無かったから一瞬誰だかわからなかったが。

「俺自身は未だしも、俺の念能力はお前も前に見たことあったと思うけどね、ヒソカ君」
「…もしかして、前の蜘蛛での活動の時の小鬼?」
「正解。クロロさんが止めてくれる前に六体程、便宜上は味方だったはずのお前に小鬼ちゃん達が殺されて俺はとても迷惑でした」

ま、一体具現化するのに必要な制約は俺自身が直接一人人間殺すだけだから、六体ぐらい痛手の内にも入らねぇんだけど。

「キミは蜘蛛じゃないんだっけ?」
「まぁな。あ、だからって団員同士じゃないからマジギレオーケーって襲い掛かって来るなよ?来ても、俺が魑魅魍魎散らして逃走するだけだからな?」

予防線で実現するだろう未来を口にすれば、またつまらなそうにヒソカ君は俺を見る。
黙ってればただのイケメンなのにね。でも黙ってイケメンしてるヒソカ君って、もう誰?って感じなんだろうな。

「じゃあ俺、もう行くわ」

そういえば不躾にも今まで名乗ってないけど、聞こうと思えば蜘蛛の誰からでも俺の名前は聞けるだろうと自己完結して立ち上がろうとした…が、何かに引かれる感覚に振り返る。自分の服に付着した粘着性のある他人のオーラを見つけて、顔を引きつらせた。

…嘘だろ、いつの間に。

「ちょっと頼みがあるんだけど

その頼み聞かなきゃ解放してくれねぇって脅しじゃねぇかよ、ふざけんな。



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