姫路が急に真顔で淡々と実習をこなし始めた。ずっとあの調子だと困るし助かるんだけど、あまりにも淡々としていて戸惑う。

「何すか、僕の事ジロジロ見てー。怪我しますよ?」
「しないよ。周りには気を配ってる」
「僕に気配らないと怪我するって言ってんすよ。恋という名のな」
「しねぇよ」

あれ、いつも通りか?
…いや、やっぱり話し方砕けてるし、表情変化がいつもよりだいぶ乏しい。でも冗談とかは言うし怒ってるわけでも無さそうだよな…?

そんな馬鹿な事を考えていたら、火縄銃の弾が飛んで来た。やっと気づいた嗅ぎ慣れた火薬の臭い。
まさか撃った相手も火薬委員長代理で慎重派な俺が撃たれるまで気づかず、しかも避けられないわけが無いと思ったから撃ったんだろう。何が気配ってるから怪我しないだ。ああ馬鹿やらかした。

「大丈夫っすか?」

何故か、弾が飛んで来るはずだった軌道上にさっきまで居なかった姫路が居て、赤が流れる右腕を圧迫するように左手で抑えながら何でも無いような顔で振り返った。

「おい、腕…?」
「僕別に優秀じゃないんで、先輩連れて避けるのは無理なんすよ。はは」

痛くないわけが無いのに、まるで動揺する俺を落ち着かせようとするように姫路は笑う。

「どうして、庇った?」

先輩が格好いいからって、いつものように言われるんだろうなと思っていた。


「はい?目の前で知り合い怪我しそうだったら、普通助けるっしょ。で、先輩は怪我無いっすか?」



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