俺は伊作さんと会うべくいつものごとく猛スピードで保健室に飛び込んだ。

「きゃっ?!」
「っ…うわ!」

と、丁度運悪く保健委員の確か乱太郎君に衝突しかけ、俺は無理矢理止まった。
だが俺の勢いに驚いたらしく乱太郎君は後ろに尻餅をつき、その両手に持っていたトイレットペーパーが転がり丁度伊作さんの足下へ…!
伊作さんはそれをギリギリ持ち前の反射神経で避けるものの、なんと避けた先には何の偶然か転がったトイレットペーパーが密集しており、伊作さんが転倒する。
伊作さんはとっさに近くの棚を掴んだが、丁度整理中だったのか棚には物が少なく、棚もろとも転倒。しかもその拍子に周りの棚まで倒れる大惨事。


…な、何なんだこの負の連鎖は。いくら伊作さんが不運だと言っても、こんな酷いの見たことないぞ。これが保健委員の力だとでも言うのか…?

「…ご、めん」

とりあえず間接的に俺が負の連鎖の発端なので謝った。凄く申し訳ない気持ちになった。

「保健委員じゃ極たまにだけどある事だから気にし……恒希さん?!」

俺に気づいた伊作さんが拾っていた薬品を落とし、床になんかよくわからない薄い茶色の薬が広がった。あああ俺のせいでさらに広がる負の連鎖。

「こんにちは…用は、また別の機会にするね」
「すみません、ありがとうございます」

いやむしろ謝らせてすみません。ああ、そんな頭下げないで…!居たたまれない!

「乱太郎君も驚かせてごめんな?怪我なかったか?」
「いえそんな!全然大丈夫です!」
「なら良かった」

申し訳ない気持ちはあるけど、やっぱり一年生かわいいよ癒される。思わず笑顔になって乱太郎君の頭を撫でた――

「わぁ…!」

ら、何故かキラキラした目を向けられた。え、何で?

「恒希さんって、最初から格好いいですけど、笑ったらもっと格好いいですね!」
「…あ、ありがとう」

て、照れる。発言がストレート過ぎて恥ずかしい。
俺が乱太郎君の眩しさを直視出来ず視線を逸らすと、何故か伊作さんも赤い顔で此方を見ていた。
ああ、伊作さんも乱太郎君の可愛さにやられた口ですか。いや、貴方も十分俺には眩しいんですがね…っ!何だ此処は。保健室って天国だったのか。
俺と目が合った伊作さんが、赤い顔のまま意を決したように口を開く。

「恒希さんは、本当に、すっごく格好いいです…っ!」

……〜ッ!
ちょ、ちょちょ、ちょっと、俺をこんなに喜ばせて照れさせてどうする気ですか?!

「じ、時間だからもう行くな!片付け全然手伝えなくて、ごめっ!バイバイ!」

俺は無駄に慌てて倒れた棚を二つ程何故か立て直した後、一切二人の顔を見ず口に出して英語使っちゃってるのにも気づかず保健室を飛び出した。



一周年お礼フリリク。赤坂様へ贈呈



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