※微妙にネタバレ




彼の望み通り長生きした僕は、忍術学園の皆も転生しているのがわかった時からずっと恒希さんを捜していた。
捜して捜して見つからなくて、でも諦めきれなかった。

僕が恒希さんを捜すのは、彼が僕の絶対的味方だからでも、ましてや彼が言うように恒希さんが僕の所有物だったからでもない。

ただ単純に、大好きだから。


「伊作、今日から教育実習生来るってよ。だから一時間目体育館で全校集会」
「へー、恒希さん以外は興味ないや」
「お前なぁ…」

呆れたように、もはや恒希さんが口癖の僕を見る留さんに、僕は口をとがらせた。
未だに口にこそ出さずともあの数人だけを許せずにいる僕に、何を言っても無駄だよ。

「ほら行くぞ」
「はーい」

期待なんてしていなかった。
だって恒希さんは前湯飲みで、あの時既に一度転生していて、僕達とは違ったから。
高校三年にもなったけど、彼の指の先さえ僕はまだ掴めていない。

「皆さん初めまして、八代恒希と申します。朝から眠いでしょうし、まぁ挨拶は大概割愛しまして、何か一言いいこと言いまー…って、なんか生徒側から鋭い視線を感じる。え、何、皆そんなに俺気に入りませんか…?」

恒希さんだ。

誰かの声に誰かの声が重なって、またそれに、と体育館がざわめきに包まれた。
僕への視線も感じる。

「恒希さん…っ!!」

気づけば叫んでいた。体育館は静まり返り、僕と恒希さんの間の生徒が割れる。

やっと、会えた。


「えーっと…君と俺、知り合いだったか?」

苦笑しながら言った恒希さんに、冷水を浴びせられたような感覚になる。
覚えて、ないんですか?何にも?

「おやまあ、それなら条件は同じですね」

二つ下の学年の綾部が目を細めて猫のように笑ったのをかわ切りに、俺もやら僕もやら声が上がる。

「絶っっ対渡さない」
「おい伊作、殺気立ってるぞ…」

留さんが何か言っていたけど、僕は気にせず恒希さんを強い視線で射ぬいた。

恒希さんは引きつった顔で後ずさった。



50000打リク:湯飲み現代転生、夢主記憶無、キャラ記憶有(杠様へ贈呈)−コメント返信



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