※意味がわかると胸くそ悪すぎる話


私の名前は望月夕美と言います。…なんて、呼ばれないけど。意味無いけど。

母が携帯電話を与えてくれたのは、奇跡です。僅かでも良心が痛んだのか、ただの気紛れか。間違いなく後者でしょうが。
それで、昔は見ることのできたテレビのアニメの夢小説を読むのが、私の唯一の楽しみでした。
夜が来るのが怖いから、私は閉鎖された空間でいつもそれを読んでいました。空想上の物語だけが、私に暖かかったのです。

男の人は、嫌いです。

女の人は、嫌いです。

人間は、嫌いです。

「ねぇ、私聞いたんだけどさ、あの子××に××…」
「えー、気持ち悪い」
「あの子かわいいけど、そうなんだ?あはは、可哀想ー」

何、気持ち悪いって。可哀想って。私が望んだんじゃないよ。笑わないでよ。面白くないよ。笑わないで。笑うな…っ!
ねぇ、どうして、そんな酷いことができるのですか?皆がやってるから?自分一人ぐらい、大したことない?どうせ自殺する度胸無いから?他人なんて、どうでもいい?今までの全部嘘で、本当はずっと、そう思ってたの?ねぇ、どうして?ねぇ?!

「おい」

あ、夜が来ました。



そうして今日も、身も心もボロボロな体で眠るのです。アザの一つもできていないなんて、変なの。変なの。変なの。

友達は、きらいです。

お父さんは、きらいです。

お母さんは、きらいです。



私を愛してくれない人達なんて、皆々嫌いです。

でも、でもね――?


「天女様、す、すきです…っ!」
「天女様ぁ、今日もかわいいですね!」
「天女様、今度一緒に街に、」
「天女様、このご飯すっごく美味し、」
「天女様、」
「天女様、」
「天女様、」
「天女様、」

こんなの逆に、虚しいじゃない。惨めじゃない。辛いじゃない。
やめてよ、私のことそんな目で見ないで。痛い。痛い。
好意も悪意も心に刺さる。
あ、は。もう壊れちゃおうかな、なんて。


だってこんなの、やっぱり私なんか誰も愛しやしないって、馬鹿にされてるみたいじゃない。

だれか、たすけて。
ねぇ、だれでもいいからあいしてよ。
おうじさまなんていらない。おひめさまにはなれないから。そこまでみのほどしらずじゃないよ。

わたしがほしいのは――




ねぇ、ヒーローお願いです。私をこの暗闇から助けてください。私は綺麗じゃないけれど、汚いけれど、少しぐらい幸せがどんなものか知りたいのです。
私は主人公でもヒロインでもなくていいから、ただ、救われたいのです。

助けて、ヒーロー。


「助けに来たよ」

私がただ一人求めたヒーローは、私のものじゃない。
でも確かに、彼は――恒希さんは、私を救ったんです。



50000打リク:モッチーの過去(塩様へ贈呈)−コメント返信



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