先日立花と潮江の男の友情を垣間見た湯飲みです。何にしても一週間は経たなきゃ次変身できないため、ぼんやりと本来の湯飲みとしての役割をこなす今日この頃。
ちなみに今日は何やら伊作さん達の部屋にて、六年生間話し合いが行われております。…もちろん、伊作さんと食満と立花しかいないが。

「おい、伊作大丈夫か?顔色悪いぞ」
「うん…ちょっと寝不足なだけ」

…確かに、最近伊作さんの部屋への帰りが遅い。何だろう、嫌がらせされてるならやった奴殺す。

「保健か…」
「新野先生が凄く手伝ってはくれるんだけど、それでも人手がね…」

新野先生…ああ、委員会か。いかんいかん、うっかり思考が下ネタに傾くところだった。いやだって、仕方ないだろう。寝不足で保健だぞ!……うん、素直に伊作さんの心配をしよう。

「俺はまだ作兵衛が解けたし、何より…複雑だが暴君の牙が抜けるわ、文次郎も腑抜けるわで備品が壊れねぇからな」

ああ…食満と潮江、喧嘩ばっかだったけど何だかんだ気が合ってたって言うか、仲が良かったって言うか…多少なりとも寂しいんだろうな。まぁ、食満はどうでもいいが。

「作法も、まだ喜八郎が初めの内に解けているからな。問題はそれ以外だ。生物は三年の伊賀崎が解けているようだが、下級生だけじゃ回らないな」
「体育は、塹壕綾部がやってくれてんだろ?」
「趣味がてらだがな。だが罠の確認や見回りにまでは手を回せない」
「そうだよね…」

…何か難しい話してるが、ようは委員会がメチャクチャってことだろ?
生物って言ったら、なんか毒虫脱走してるイメージ。それに人手足りないって…大惨事のフラグじゃねぇか。
体育って、何か話聞く限り七松の七松による七松のための後輩苛める委員会だと思ってたんだが、そんな活動してたのか。罠の確認とか見回りって…相当重要だよな。罠が誤作動したら下級生が怪我しかねないし、逆に作動しなかったら見回りも怠った状況下――ほとんどの忍たまが鍛練もしてないのに、もう今忍術学園攻められたら終わりだろ。

「会計ももうどれぐらい帳簿つけてないんだろう?洗脳解けてもそれはそれで地獄になりそうじゃない?」
「火の車だろうな。神崎の洗脳が解けて一年と委員会をしているらしいが、文次郎がいる時でさえ徹夜続きの委員会だ。図書も本の修繕はできていないが、かろうじて貸出し管理はできていた」
「後の委員会と言えば…ああ、火薬か。地味な委員会だが、活動しなくなると不味くないか?火薬類全滅となると戦った時の勝機が大幅に、」
「留三郎、私がそれを考えていないと思うか?」

不敵な笑みを浮かべた立花は、悔しいがイケメンだ。頭の回転早くて策巡らせてる奴って格好いいよな。俺、小難しい策立てるのとか苦手だし。

「火薬は大丈夫だ。洗脳にはかかったままだが、久々知は委員活動こそまともにやっている」
「…どういうこと?あの文次郎だって委員会してないのに」
「いや…俺も望月さんが好きだった頃でも委員会はやっていた。それに、確か作兵衛も」
「ああ。調べれば伊賀崎や不破も委員会はしていたし、一年にはそういう者も多い」

それは…確かに変だな。責任感強い…で片付けるには、あの堅物な潮江の例があるからな。責任感の固まりのような潮江でさえ委員会してないのに、何で忍たまとしても未熟な一年とかに平気な奴が多い?

「これは仮説だが、洗脳のかかり方には個人差があるんじゃないか?」
「個人差…?」

個人差――あれ、そういえば俺も前にこの手のこと考えて…何で忘れてたんだ?

「留三郎、お前なんていい例だ。すぐに解けただろう?伊作に至ってはかかりもしなかった。一方で、あの文次郎や小平太は酷い有り様だ。私も相当なものだったがな」

そう、伊作さんなんてかかりもしなかった。忍たまの中では他の誰もがかかったのに、何故か伊作さんだけが。

「体質的なものか、他に理由があるのかはわからんがな」

立花の言葉に、俺はようやく気づいた。

他に理由…伊作さんと他の奴の差――そんなの、俺の存在しか思い当たらない。
そもそも、イレギュラーな存在だからといって逆ハー補正を解けるというのも意味がわからない。食器の神様はそんなこと一言も言っていなかった。
だがそれを前提に、もし俺が人間にならずとも湯飲みを触ったり近くに置いたりしているだけで逆ハー補正が解ける…違うな、その影響を受けなくなる、としたら…一番側にいた伊作さんが影響を受けず、同室として必然的に俺の側にいることの多かった食満の補正がすぐに解けたのも、納得できる。
孫兵君も湯飲みの状態の俺を触ってから解けたような気がするし、作兵衛君もその部類か?

まぁ、久々知君と不破君とは関わったこともないし、全部が全部俺の影響とは言い難いが…結構、当たってる気がする。

でもそうなると――俺は食器の神様に力を与えられる以前から、モッチーみたいに本人の意思とは無関係に何か特別な力を持っていた、となる。


ああ、知恵熱出そう。



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