ただ、手を引かれた。それだけだった。

そこ、に特別な理由などなくて。
そこ、に過剰な愛などなくて。
そこ、に幸せな結末などなくて。

知っていた。
誰でもよかった。私の手を最初に引いたのが、たまたま彼だっただけ。


けれど、私の命を投げ出すのには十分な理由だった。

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