ふわりふわり、ととりとめなく夏休みに入るまでの時間を過ごして、今日はとうとう前期終業式だ。俺以上にふわふわ授業受けてた奴等から解放されて、きっと先生達も歓喜しているに違いない。

終業式は、あれだ。一言で言うなら跡部さんマジ目立ちたがりやぱねぇっす。
何故に終業式に出てきたし。何故にお前が偉そうに夏について語ったし。何故に終業式がテニス部の宣伝の場と化したし。
はいはい跡部サマだからですねわかってますわかってます。

「朔人、目死んでるぞー」
「…岳人、お前部員として恥ずかしくない?」
「正直ちょっと恥ずい」

ですよねー。
え、ジロー?アイツは見なくても寝てるってわかるじゃん。むしろ終業式に寝てない方がおかしい。ジローが寝てなかったら今日はきっと世界の終わりだ。

「なぁ岳人、話聞いてなかったからかちょっとよくわからないんだけど、何で皆氷帝コールしてるの?」
「聞かなくてもわかるだろ」
「むしろわかりたくない」

終業式って自分の学校応援する場でしたっけ?あれ、終業式って何でした?俺、色々とよくわからなくなってきました。

「跡部さん、どや顔で指パッチンして勝者は俺達だとか言ってるけど、その俺達に含まれてると思われる岳人さん、一言どうぞ」
「やめろ」

きっと跡部の周りにいるうちに感覚が麻痺していたんだろう岳人は、俺の言及に恥ずかしそうに顔を逸らした。
俺、跡部とそのファン見てるとたまに一種の宗教なのかなと思います。

三歩ぐらい引いた目線から跡部を観察した終業式が終わり、こんな日まで大会が近いからと練習するらしいテニス部の岳人達と別れて、だらだらと帰りの用意をして教室を出た。

「あ、亮さんだ」
「ん?…ああ、朔人じゃねぇか。久しぶりだな」

相変わらずのシャンプーのCMに出られそうな髪の男前、亮さんと久しぶりに会った。と言っても一ヶ月ぐらいぶりだけど。

「久しぶり。ジャージってことは部活?」
「おう、大会近ぇからな」

言われてから初めて、俺は少なからず自分自身も跡部教に侵されていることに気づいた。
そうだよ。別に大会近いのテニス部だけじゃねぇじゃん。他の体育会系の部活、亮さんのサッカー部とかだって大会近いに決まってんじゃん。

「兄貴!頑張ってな!」
「兄貴…?まぁ、サンキュー」

そう言って男前に笑うと、兄貴もとい亮さんは軽い足取りで走っていった。
相変わらずの爽やか兄貴っぷりである。これはサッカー部に後輩が出来たらいい先輩として大層慕われるに違いない。

さて、俺は帰ってスイカ食べながらやりかけのゲームでもしよう。
…なんか周りが部活に励んでるせいで、自分がダメ人間な気分になったぞちくしょー。

             


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