死人を蘇らせる術をどれだけ探しただろう。
魂を呼び戻させる術をどれだけ追い求めただろう。
俺の部屋から続く秘密の部屋は膨大なその手の書物で埋まり…だけど結局、俺のたった一つの望みは達成されないままだった。
俺は、何の為に人並み外れた頭脳を持って生まれてきたのか。
大切な女一人、護れなかったのに。
「お兄ちゃん、なにしてるの?」
俺ははっとして振り返った。そこにはやはり、この夜更けにトイレにでも起きたのか妹の陽…アキがいた。
俺は自分の布団に座ったまま、無意識に普段から気配を消す妹の忍としての才能に、目を細める。
忍不足の木の葉の里、一忍としてはアキにもくの一になってもらいたい。でも、兄としては、二度とあんな想いをしたくない。
「アキ、お前くの一になりたいか?」
「んー…?」
寝惚けているのか、アキは頭が回っていないように首を傾げた。
その、些細な仕草に心臓がどくりとざわめく。彼女と同じ所を見つける度、俺は妹に彼女の影を探し、重ねる。
俺は当たり前のようにそうしてしまう自分に、両親に頼んで妹の名前を陽にしてもらった事を後悔していた。
「アキはねー、ニートになる」
俺は噴き出した。
おい、此方がシリアスに聞いてんのにそりゃねぇだろお前。…あー、もう。
「アキ、」
「なーにー?」
俺と同じで彼女と違う、黒い肩までの髪が揺れる。
もう少しだけ待ってくれ。もう少ししたら、彼女じゃなくてちゃんとお前を見るようにするから。
「おやすみ」
「うん!おやすみー!」
パタパタと駆けていくその後ろ姿を見送ってから、俺は横になり目を閉じた。
俺の決心とは裏腹に、その日は彼女の夢を見た。