予め火影様に蝶を飛ばし、返事も待たずに二人を後ろに連れて木の葉に向かった。
火影様にバレてからの、緋兎としての私の立場なんかを話しながらゆっくりと歩く。ピクニックのような和やかさだった。後から帰って来る暗部としての空と狗が緋兎の話を海や宵にするのは微かに怖いけど、今は考えても仕方ない。…そう考えると、廻君はなんて私に優しいんだ。

「木の葉に着いたらまずどうするんですか?」
「まずはやっぱり火影様に挨拶して、それから君達が今後住む事になるアパートに案内する。暫くは木の葉での暮らしに慣れる時間にしてよ」
「アパートの後、陽さんはどうされるんですか?」
「家に帰るかな、家族に会いに」

私はそのまま三歩進み、歩みを止めた。何故なら二人が三歩前に歩くのを止めたからだ。
不思議に思って振り返ると、二人が何とも言えない顔で私を見ていた。しいて言うのなら理解不能って感じの顔。私は戸惑う。

「えっ、白君…?再不斬さんまで?な、何その顔は…」
「陽さん家族居るんですか…?」
「えっ、お兄ちゃんが私を禁術でって言ったじゃん」

普通に私言ってたよね?ここ突っ込みどころじゃないよ?

「いえそのお兄さんは危なげでわりと納得なんですが…他の普通のご家族も?帰りたいと思われるような家が貴女にあると?」
「えっえっえっ?!白君、君何気に酷い事言うね?!でもね、それが居るのよ!素敵なお父様とお母様も!」

私は必死に主張した。前は未だしも今私に家族が居る事は事実だ。そこを疑われては堪らない。優しい今のお父さんもお母さんも、私は大好きだ。
ただ、あえてお兄ちゃんが危なげである事は否定はしなかったけど。
暗部だし、彼が前の私に会った片手で数えられるぐらいの頃はそりゃあもう…中々に手の負えない子だったし、何よりも私が死んでからの彼は目も当てられなかっただろうから、否定のしようもなかった。

主張のかいあって一応納得してくれた、しかし心から納得するにはその目で見ない限り無理そうな二人を連れてまた歩く。
火の国までは後少しだ。

「ちなみに帰る時はその…変化は解くんですか?3歳児、に…?」
「そりゃね。お父さんもお母さんもお兄ちゃんも、私が”陽さん"だなんて、緋兎なんて、知らないもん。私はかわいい少し忍の才能があるだけのアカデミー生アキちゃんなのだよ」
「…俄かには信じられない話ですね。変化を解く時は、見ても?」
「いいよー」

そっちを信じられない事に関しては予想の範疇なので安請け合いした。

「ところで火影様に話って、大丈夫なんですか?貴女はそこまで信用が?」
「大船に乗った気で、全部私に任せておきなさい」

心配そうな白君をかわいいなぁと思いながら、私は自信満々に答えた。
そうこう色んな話をしていると火の国の門の前に着いた。しかしこの入国審査、蝶を飛ばして話を通しておいたお陰か、火影様への私の信用故に私が任務を受けてから既に話が通されていたかはわからないけど、二人も私の連れというだけで簡単に中に入れた。
この時点で、私のさっきの自信の裏付けは充分だろう。

…ふぅ、入国審査の事とか何も考えてなかったー。ありがとう火影様!

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -