「つまり、私は中忍ではなく暗部として火影様に勅命を受け任務に来たわけだす」

皆に合流すると何処に行っていたんだと煩いカカシ君に、ついに私は面倒だからとカカシ君も承知済みだろう事を話した。
こう言ってしまえば、表で暗部だと公言していないカカシ君は私に任務内容を聞く事は出来ないから。
まったく、嫌な元上司だ。

「…一つだけ聞かせてもらえる?その任務は、俺にも関係ある?」
「万が一のサポートも任務の半分ではありますから、そうだすね」

実際、火影様に命じられた任務はその事だけなんだけど、私が自分に課した任務は別だ。
私はカカシ君に暗部だと明かしたお陰で動きやすくなった身で、それじゃあと依頼人の家に初入りした。
今頃カカシ君苛ついてるだろうな。私はそれ以上にカカシ君の体たらくっぷりに苛つきましたけど。


「ヒーローなんていないんだっ!!」

依頼人の家に入ってすぐ、ちびっこがなんだか当たり前の事を叫んでいた。
カカシ君が今居ないのをいい事にナルト君に矢羽根でどしたのー?と事情を聞いたところ、叫んでるのは依頼人の孫で、なんか努力しちゃって馬鹿みたい、からのガトーは倒せない、からのヒーローはいないという流れらしい。へー。

「結論は賛成だすね。他は反対。特に、ガトーみたいな小者を倒せないとか何とか」

ナルト君にバレて、カカシ君に暗部と明かしたこの身は軽い。
ガトーごときにびくびくした演技、私の性に合わないのよね。

「前は一人途中で逃げた癖に、デカい口叩くもんだな?」

すると何故かサスケ君に噛みつかれた。えー、めんどくさ。
気配には出さないけどたぶんナルト君今のにムカっとしちゃったよ?だってナルト君、私の事大好きだもん。
サクラちゃんが慌ててサスケ君を止めようとするのを、私は苦笑いしながら手で制した。

「心配しなくても、私そこそこ強いだすよ?」

嘲笑うように、大人気なくサスケ君を挑発してあげた。嫌な大人。でもほら、アキ、一応今3歳だから!
闘志満々になったサスケ君を無視して、私はまた依頼人の孫に向き直る。

「努力をやめて、ただの無気力卑屈になった人間に残るのはなんだす?せめて、死ぬ前に相手に噛みついて消えない傷ぐらい残したくはないだすか?救える強さを得ようとする事は、とても素敵な事ではないだすか?」
「……でもっ!」
「一人で戦えとか、そんな無責任な事は言わないだす。だけど、君は駄々を捏ねる前に大切な事を忘れてるように私には見えるだす」

護りたいものがある事は、だから強くなりたいという気持ちは、何だかんだ今でも私の宝物。悔しいけれど。

「なーんて」

さっきまでのシリアスな空気を弾き飛ばして笑えば、それを許さないとばかりにサスケ君に腕を掴まれた。

「俺と戦え」

いやん、面倒な予感!

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