寝ていた私は、さわりと一瞬の冷たい何かを感じて…手を血塗れにした。
「っそ、空総隊長…私、そんなに嫌われ、」
「お前は誰だ」
空総隊長に変化している彼は、だけどナルト君の顔で泣きそうに私を見ていた。
ナルト君がくないから手を離し、私も手に食い込んでいるくないの刃から手を離す。からん、とくないが地面に落ちたと同時に、ナルト君は血塗れの私の手を壊れものを扱うようにとても優しく両手で包み込んだ。
でも、確かにさっきのナルト君は一直線に迷いなく私の首を狙っていて、間違いなく私を殺そうとしていたんだよ。
「お前のする事する事、あの人に重なる。何でお前は、俺が本気で殺そうとしたのに生きている。何で、それだけで済む。俺は自分の強さに自信がある。あの人のお墨付きだからだ。でも、お前があの人なら今のは造作もなく避けられただろう?お前は、誰なんだよ…っ」
私を睨むナルト君に、私は微笑む。
「空総隊長、疲れてるんだすよ。ちょっと話の意味が、」
「貴女の癖ですよ」
それは、ナルト君の返した言葉の意味を頭をフル回転させて考えていたからで、相手がナルト君だと安心していたから。
私はあっさりとナルト君に押し倒された。
忍者において、凶器を手にしているかいないかなんて、大して関係無い。チャクラを扱えるんだから、その手はそのまま凶器だ。私は目を細める。
「陽さんは、俺達を誤魔化したい時優しく笑うんですよ」
私は何も言えず何も出来ず、ナルト君を見ていた。
「俺だから、抵抗しないんでしょう?俺は、絶対貴女を殺さないから。普通、会って一月もしてない上司に殺されかけて押し倒されたら、いくら無駄でも抵抗しますよ」
ああ。ああ…。
「陽さん、俺、貴女に護られるんじゃなくて、護りたかったよっ」
私の変化した緋兎の顔に、頬に、雨が降る。
甘かった。私が馬鹿だった。
さすが、火影様の馬鹿野郎。亀の甲より年の功。
きっと全部わかってて私に任務を出した。私が、私のせいでを嫌いだって知ってて、それに堪えられないのを知ってて、ボロを出すって知ってて、私が馬鹿やってバラす分には契約違反にはならないから。
「なぁ、陽さん、何か言って」
「…」
「…太陽が無かったら、人は生きられないんだよ」
それは、違う。
だって私が居なくても、ナルト君も皆も生きてきたじゃない。
「陽、さん」
「誓えますか?」
「ぇ…」
ナルト君、本当は私ね、アナタにバレるのはとても危険だけどそこまで大変な事態ではないと思ってる。
「誰にも、私の事を言わないで。絶対」
「…なんで?」
「返答ははいかいいえしか認めない。今すぐ答えて」
私はとても卑怯だ。
「っ…はい、誓います」
私は笑って、いい大人に変化しているのにぐちゃぐちゃに泣いているナルト君を力技で押し倒し返した。
「ナルト君、ただいまー」
「ぉ、かえ、なさぃ…っ!」