里の外に出る時はまさか3歳児が暗部の何も描かれていない真っ白な仮面をつけた二人組と共に堂々と門から出るわけにも行かないので、緋兎の姿で暗部のお仕事ですと堂々と嘘を吐いた。どっちにしろ私はいつも堂々と生きているのである。
と言ったら再不斬さんに鼻で笑われた。白君にはそういう事にしておいてあげましょうよと微笑まれた。何だかわからないけど白君の反応の方が傷ついた。

さて、そんな余談はさておき肝心のイタチ君の居場所だけど、前もって影分身に探らせておいた。火影様に聞くまでも無く、私の探索能力なら容易く突き止められた。

「この道を暫く行けばイタチ君が今潜伏してる所に着くはずです」

私が遠足気分のわくわくした顔で道を指させば、再不斬さんにばちんと頭を叩かれた。もう一度言う。ぱちんじゃない。ばちんと、だ。
っまた!この人また暴力振るった!!3歳ボディじゃなくても私なら何でもいいのねっ?!とにかく私に暴力を振るいたいのね?!

「浮かれてんな。うちはイタチは一人なのか?」
「ん?ああ、確かに暁は結構コンビ行動みたいですけど、今は任務中じゃないっぽいので大丈夫ですよ」
「おい、曖昧過ぎだろ」
「んー、近くに強そうな人が居ないのは間違いありませんし…いざとなったら物理で黙らせます」

楽観的だけどあくまで出来る事をにやりと笑いながら言えば、再不斬さんは変な顔をした。苛立ちのような、哀れみのような、よくわからない表情。

「えっと?」

意味がわからず白君に視線で助けを求める。

「大丈夫です、アキさんは僕達が護りますから」
「え?はい、ありがとうございます?」

それは嬉しいのですけど、白君、アキさんは話の流れがわかりません。鼻を鳴らした再不斬さんはわかってるんだろうけど、説明なんてしてくれませんよね。知ってます。
…何で私上司のはずなのに常時こんな扱いなの?解せない!昔の暗部の皆は陽さん陽さんって……いやそれも、困るか。いいです、このままで。

そんな私の複雑な思いなんて二人は知る由もなく、取り留めない事を話しながらそのまま一時間程歩き続けた。
そうして遂に、普通の人なら絶対気づかない範囲、感じた気配に私は立ち止まる。一つ深呼吸。

「…近いんですか?」
「うん、私にとってはもうすぐそこ」

白君の問い掛けに頷いて拳を握る。顔を緋兎の者からかつて太陽と似合わなくも呼ばれた、彼女のものに変えた。風に揺られて見えた水色の毛先に、複雑な気持ちになって髪を抑える。

「二人共、絶対邪魔しないでくださいよ。数年越しの感動の再会シーンなんですから」

微笑んで、赤塗りの兎で顔も表情も隠した。はやる気持ちや高揚、それから少しの不安を二人に気どられないようにの意味も込めて。
大丈夫、だよね。

自分に言い聞かせて私は、駆けた。



一閃。本気の動きで、その首をかっ裂こうとクナイを横に振るった。
それを記憶より少しだけ疲れた顔の滲んだ人相をした彼はすんでの所で避け、あまつさえ蹴りを一発仕掛け反撃して来た。勿論容易くかわしたけれども。

「流石。あの頃よりむしろ強くなった気さえする。どっかのだーれかさんとは大違い」

あえて軽口を飛ばした。そうじゃないと泣いてしまいそうな気がした。

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -