お兄ちゃんと一緒に初めて任務をしてから、たまに空総隊長にまたお兄ちゃんと任務を組まされ、その度お兄ちゃんが鎌かけたり色々してきてうざい。うざい。

「火影様ーっ!海がうざいです!マジでうざい!この前なんか暗殺任務中に家族構成の話になったんですよ?!」

物凄く自然な流れ作って探ってくるのがうざいのっ!家族構成はお前の父と母とお前自身だ馬鹿ー!

「良かったではないか。わしは陽とシカマルがまた良好な関係を築けておるようで安心したわい」
「観察者と観察対象の関係の何処が良好ですか?!」

てか、暗部総隊長補佐ともあろう海がイコール下忍になってまだ数ヶ月のシカマルなのは、結構重要な里の機密でしょうが。まぁ、空総隊長イコールナルトに比べれば随分ましだけど。
いくら私が元から知ってるからって…火影様、本当に私が陽って確信してるんだな。

「して、実際のところ今家族構成はどうなんじゃ?」
「また暗部になるのと引き換えの約束の一つ!今の私を探らないって言いましたー!」
「ふむ、それは残念じゃ」

まったくもう、油断も隙もない人だ。

「それで、本題は何ですか?空総隊長を通さず私を呼び出したという事は私への勅命でしょう?」
「うむ…それに伴い、先に話せねばならん事がある。……イタチの話じゃ」
「…ああ。聞きましたよ、うちはの事件」
「…陽、わしは」
「言わないでいいです。解ってます。私は木の葉に愛着ないですから」

私が死ぬ前からあったダンゾウ様を中心とした上層部の不穏な動き、うちはシスイの死、…そして私が死んだのを幸いとしたようなタイミングでの事件。これだけ揃えば簡単に答えを弾き出せる。
場合によっては私が死んだのも、火影様にさえ通さず上層部が――いや、まだ今は考えないでおこう。それにそうどっちにしろ、イタチ君に手を出した時点で上層部の行き着く末は決まっている。

「いいですか。私が上層部のほとんど引き摺り下ろしてもしくは消して、イタチ君を木の葉に連れ戻したら――火影様、アンタは死ぬ気で謝れ。最終決定を下したのは、あくまで貴方なんですからね」
「たった、それだけでいいのか…?」
「私に聞くのもお門違いだと思いますがね」

私は、確かにあの子達が大切で大切で大好きで仕方無くて、その為に死んだ私に対し、それなのに守れなかった火影様の罪悪感は解らなくもないけど。
でも、それこそこの件に私は関係ない。私が何を言おうが私が死んだ後に起こった事。死人が責めるのなんてお門違い。重要なのは、当事者のイタチ君だけだ。

「イタチ君は、木の葉が好きなんです。だから任務を受けたはずです。世界一立派な忍なんです」

立派過ぎて、哀しい忍だ。私はそんな道選べない。
イタチ君は、選択出来る強さと、選択しか出来ない弱さ、その選択に堪えうる精神を持ってしまった故に、悲劇の罪を背負った。
イタチ君は、優し過ぎた。

「火影様が老い先短い命で償ったところで、あの子は喜ばないんですよ。火影様は謝って謝って謝って、その後は余生の限り償い続けるべきです」

火影様が自分は泣くのさえ許されないとばかりに涙を堪える姿から目を逸らし、私は窓から夕焼けを眺めた。

火影様は、私に感謝してくれていいですよ。私が舞い戻って来た以上、このまま悲劇で終わらせる気なんて更々有りませんから。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -