いつの間にかリドルが6年生になってから半月ほど経とうとしていて、まったく月日の流れは早いものだと私は爪を研ぎながら思った。

まぁ、勿論その間何も無かったなんて事はあるはずもなく。何と言っても私の飼い主様はヴォルデモート卿だからな。

「ふにゃー」

先日のクリスマスにリドルに貰った、私には到底似合う気がしないし何を思ってこの色にしたのかまったく理解不能なベビーピンク色の、だがふわふわな肌触りが気に入っているクッションにゴロゴロと横になりながら、さすがにそろそろ私もサポートしてやるべきかと考える。
私の居ないところで勝手にリドルに馬鹿やって死なれると、私の生涯設計に支障が出るからな。

「…っん!」

魔力を全身に行き渡らせ、前世の姿と原理をイメージしながら魔法を使えば、久しい自分の体重と身体の大きさに慣れず、無様にもその場に尻もちをついた。

元が猫だった事もあり真っ裸である事以外は特に支障もない事を自分の全身を軽く見回して確認した私は、リドルの服を勝手に荒らすと必要以上に騒ぎとなる未来がありありと想像出来た為、私の玩具であるアルファードの衣装ケースを漁り始めた。
無難に透ける事を考慮して黒のワイシャツを着て、黒の七分丈のパンツ(私が穿くと丁度良い長さになった)を白のベルトで留め、下着、それと靴はどうしようもないなとその場に座って手の動き等を確認する。
魔法で服を出す事は勿論簡単なのだが、生憎服を着ていなかった期間が長い上猫になってからまともに見てきた服なんて学生服ぐらいだ。20云歳の外見で学生服なんて着られるか。それに魔法で出した服は生地的にも作り的にもよろしくないしな。

そろそろリドルとエバンは今日もう一限あるが、アルファードの今日の授業が終わり部屋に帰って来ておかしくない時間になった為、アルファードの羊皮紙を一枚拝借し、羽根ペンで一文綴ってから猫に戻った。

それから数分後、慣れた気配と共にドアが開く。

「…は?!」

散らかしっ放しにしておいたアルファードの服の山に持ち主が驚いているのをクッションに丸まりながら他人行儀に観察する。
勢いよく疑いの視線で一度私を見たアルファードは、衣装ケースのファスナーは猫には流石に難しいと気付いたのか視線を逸らした。

「あ。でもお前、此処に居たんだよな…?これ、誰やったんだよ」
「にゃ」

私は顎で自分が書いたアルファードの羊皮紙を指す。


「…アルファード君の持ち物が欲しかったんです、ごめんなさい好きです」

ご丁寧に読み上げたアルファードは混乱の為か数秒硬直した。

「え、ヤ、ヤンデレ…?」

結果、恐怖半分にやけ半分で言ったアルファードに、安い男だなと思いつつ件の犯人である私は目を閉じた。

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