「はぁ…」

帰り道、私とリドルは歩いていた。魔法も使わず、歩いていた。

「馬鹿らしい」

無表情で前だけ向きながらリドルが呟く。それは自分に言い聞かせているようだった。

私とリドルは、ホグワーツからキングズクロス駅に着くや否やリドルの血縁者であるスリザリンの血を引く奴等に会いに行った。
そこでリドルは人を殺し、私はアイツの子孫も碌な奴じゃないなと呆れる結果となった。まぁ、リドルが居るから良しとするか。

「リーラ」
「…にゃ」

此処で私か。何だ。

「前からさ、僕自分の名前が大嫌いなんだ。愚かなマグルと同じ名なんて、反吐が出る」

顔を歪めたリドルを一瞥した私は、冷静にコンプレックスというやつかと納得し欠伸を一つ。
マグルに差別されたからマグルが嫌い。優秀な純血でスリザリンの血を引く母親を捨てたマグルの父親が嫌い。優秀な血を引きながら堕落した母親の血縁も嫌い。混血である自分が許せないか。

「考えてたんだよ、簡単なアナグラムだ。僕は永遠を生きる。そして、マグルを全員駆逐して魔法界の頂点に立つ。僕は今日から…ヴォルデモート郷だ」

その憎悪を篭った目の矛先は、本来必ずしもマグルだけに向けるものではない。私はそれを知っていた。
決定的に友人が悪に堕ちた瞬間隣を歩く私は、それを正してやる程今まで善人染みた経験などして来ていないわけで。

そもそも、私は今やただの黒猫。

「みゃー」

この史上最凶と謳われた闇の女帝が、傍でお前の生涯見届けてやる。
だから安心して突き進めよ、後の闇の帝王。

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