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自分の席に着き、それと同時に昼休み終了のチャイムが鳴ってから気づいた。

「っ私、ご飯食べてない…!」
「あはは、大丈夫大丈夫!一番後ろの席だしこっそり食べれるってー」

あずみんは軽く笑ってるけど、そんな経験の無い私には見つかった時の事を考えると授業中にご飯なんてチャレンジは出来ない。

「…五時間目終わるまで、我慢する」
「お腹鳴ったら笑ってあげる」

それは恥ずかしいからやめて欲しい。

「あずみん、さっきのプリントって生徒会?」
「うん。学園祭二ヶ月前だから、生徒会は下準備が色々とねー」

あずみんの言葉に、そういえばそうかと納得しながら現国の授業の準備をする。

「サララって、学園祭はやっぱ切原と回るの?」
「あー…どうだろう」

そもそも、二ヶ月後まだ付き合っているかと聞かれたら60、いや70%ぐらいの確率で別れている気がする。二ヶ月付き合ったら赤也君もきっと飽きているだろう。

「じゃあ切原と回らないってなったら僕達と回ろうねー」
「うん!」

現国の先生が来たのであずみんは前を向いた。その恐らく今まで一度も染められていないさらさらの綺麗な黒髪を見ながら思う。
あずみんはやっぱりイケメンだ。あずみんだけじゃなく、よっしーも菅野ちゃんも…見た目も勿論だけど、中身が本当にイケメン。

少し視野を広げて周りを見れば――やっぱり睨まれている。
そりゃそうだ。昨日まで苛められていた私が、いきなりクラスの人気者三人と仲良くなって、しかも菅野ちゃんには抱き着かれたし…三人を好きな子達からすれば、そりゃ面白くないだろう。
何か、赤也君と恋人どうこうより此方の方が問題な気がする。

と思った矢先、明らかに私宛の紙飛行機が教室内から飛んできたんだから前途多難だ。
開けば、放課後呼び出し屋上…うん、ありきたり。

「サララ、本当にお腹休み時間まで持つー?」
「持たせるっ!」

私は半身で振り返りながら面白そうに小声で笑うあずみんに、目を据わらせながら答えた。
それと同時に、ブレザーのポケットへと自然に紙飛行機を突っ込んだ。多少ぐしゃぐしゃになっちゃったけど、まぁいっか。

赤也君関係なら三人に迷わず相談するし、赤也君とはそもそも利害関係の一致で私に非はないから隠す必要もない。
でも…ねぇ。評判の悪い私が、性格良くて格好いい三人と急に仲良くなったら、水代なんかが狙ってる!汚される!って思われても仕方ないって言うか…純粋に前々から彼等を好きな子達に申し訳ないと言うか…。
まぁとにかく、最初ぐらいは呼び出されてあげようと思う。焼け石に水でも、私はそういう目で三人を見てないことも宣言しておきたいし。

「サララ終わったよー。ご飯食べないのー?」
「食べる!」

何はともあれ、まずはご飯だ。

                


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