男主短編 | ナノ




俺は天女さんが好きである。大好きである。全人類の中でも三番目に好きである。ちなみに一番は不破雷蔵という俺の同級生のかわいい子で、二番目は俺自身だ。

あっはっはっ!天女さんが来てくれたお陰であの雷蔵さんに付きまとっていた小蝿(※鉢屋三郎)が天女さんに付きまとうただのミジンコD(笑)と化したのである。あー愉快愉快!この世は俺を中心に回っている!

「名前名前名前名前」
「うん?何々、雷蔵さん!」
「名前は天女が好き?あのあばずれで教祖紛いの軽く触れば首折れそうなアイツが、名前も…好き?」
「うん」
「やっぱりアイツ殺す。やだやだやだやだ!名前名前名前まで僕のところからいなくなるの?!兵助みたいに勘ちゃんみたいにハチみたいに三郎みたいに…っ!」

あらやだ、俺ったら愛されてる。最後にゴミ虫(※鉢屋三郎)の名前が出てきたのは非常に気に食わないが、アイツは今や所詮ただのダニ。取るに足らない存在だ。

「でも俺、雷蔵さんが一番大好き!」
「名前…っ!」
「雷蔵さん…っ!」

ひしと抱き合い愛を確認。あーかわいい。俺の雷蔵さん世界一かわいい。ノミ(※鉢屋三郎)死ねばいいのに。何て言うか、やっぱり今までの奴の諸行のせいで、今奴が生きていることさえムカつく。
あああ、もう誰もこの世界を邪魔しないでくれ!ねぇ雷蔵さん、俺と旅に出ないか?どこか遠いところでトマトを作って暮らそう。世界一のトマトを作ろう。トマトは俺の好物なのさ!

「そういえば、雷蔵さんって天女さん嫌いなの?」
「世界で一番」
「…」


翌日の夜半、天女さんが裏々山にある川のほとりにて無惨な姿で見つかったらしい。
…いやぁ、残念だなぁ。天女さんのこと大好きだったんだけど、まぁ、仕方ないよね!

さぁ雷蔵さん、俺と一緒にトマトを作りに旅――

「皆、元に戻ったの…!」
「ああ、幻術にかかるとは俺達も未熟だったな」
「雷蔵ぉおおお!ごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねごめんねぇえええ!私は雷蔵を一番一番一っ番愛し、」
「三郎黙れ」
「三郎マジうぜぇ」


…は?

「名前っ!皆、元に戻った!やった!ねぇ、名前…名前?」

シラミ(※鉢屋三郎)達のところにいた雷蔵さんはふと振り返り、俺に駆け寄ってきて飛び付くように抱き締められた。
雷蔵さん?ん?え?何これ?は?は?はぁ?

こうして雷蔵さんはまた幸せな日々を取り戻したのでした、ちゃんちゃん。





あっはっは!これで終わり?

んなわけあるかよ。


「雷蔵さん、」
「うん、何?」
「トマトを作ろうか」
「え?」

真っ赤なトマトを作ろうか。ぐちゃぐちゃで真っ赤で全然美味しくないけど、大丈夫、俺の好物だから、雷蔵さんが食べろって言うなら食べてもあげる。

さぁ、トマトを作ろうか。


お題:baby pink様より

メアリーグレイのせんべ様へ相互記念贈呈


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -