男主短編 | ナノ




「雷蔵さんの髪をもふもふし隊!」
「し隊!」
「解散」
「「三秒で?!」」

そりゃないぜ雷蔵さん、なぁ三郎。ああ名前、私達のこの情熱はこれから何処へ向けろと言うのか。
と隊員番号三番、三郎と話していたら黒板消してた雷蔵さんから豪速球でチョーク飛んできた。怖かった。思わず二秒は時が止まったねあれは。

「されど雷蔵さんや、俺は思う。雷蔵さんのもっふもふな髪はビューティフォー」
「名前、今日ごみ出し当番ね」
「何で?!」
「ビューティフルの言い方イラッとした」

しかし俺は逆らわず、ごみ箱持ってダッシュした。
以下、翌日三郎から聞いた俺が居ない間の二人の会話。

「雷蔵、私は真剣にお前の髪をもふもふもふもふもふもふしたいと思っているんだ」
「三郎は窓の確認と担任への報告よろしくね。僕は帰るから」
「何で?!」
「もふの数にイラッとした」

しかし三郎は逆らわず、窓を閉め始めたらしい。
そしてダッシュした俺は二分もせずに教室に帰ってきた。

「ただいま!」
「うん、おかえり。ありがとう名前」
「雷蔵のそのちょっとしたことに一々お礼言える所、俺好き」
「…あ、ありがと」

気恥ずかしそうに笑う雷蔵の可愛さは異常。
雷蔵は誤魔化すようにすぐ俺から視線を逸らし、丁度窓を閉め終えたらしい三郎を振り返った。

「じゃあ三郎、報告よろしくね。名前帰ろう」
「え、おう!よくわからないけど三郎、報告よろしくね」
「ちょ、待てぃ!何ちょっといい雰囲気醸し出して帰ろうとしてんだ?!雷蔵はいいけど名前は許さ、」
「「ばいばーい」」

三郎の俺への文句を遮断し、二人で笑顔で手を振り鞄を持って教室を出た。
てか、俺がいつ雷蔵といい雰囲気出したんだよ。そんなの出せたら瞬間的に襲いかかるわ。もふるわ。


「…それで、僕の髪をもふもふってどういう意味」
「え?!わかってなかったの?!」
「うん」

何という衝撃の新事実。これは俺が責任を持って雷蔵に説明せねばなるまい。

「だから、雷蔵の髪を触りたいなぁって話」
「…いいけど」
「ええ?!い、いい、いいの?!」
「う、うん…」

ごくん。
俺は生唾を飲み込む。雷蔵は俺の真剣な視線に居心地悪そうに目を逸らしている。

俺は雷蔵の髪に手を伸ばし、その手が…雷蔵の髪に…触れる。

「もふー」

念願の雷蔵の髪をもふる俺の、この世の幸せ全てを集めたかのような最上級笑顔に雷蔵が顔を赤らめていたなんて俺は知るよしもなかった。


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