男主短編 | ナノ




(※一年成長→六年生)



六年ろ組、苗字名前。相変わらず顔色は宜しくないけど仲良い奴等皆脱落せずに六年生を迎えられた今日に感動中。

「伏木蔵…お前はよく、耐えた」
「うん…名前、僕去年のうちにやった乱太郎との保健委員長じゃんけんに負けたあの時、死を覚悟したよ」
「無事卒業して医療忍者やってる善法寺先輩に失礼だぞ」

まぁ、俺等の下の代も決まって保健委員になる子達は皆不運だから、俺は保健室には悪霊が居ると疑っているわけだが。
そんなことを考えていた俺はふと後ろに気配を感じ、はっとして振り返った。

「よう平太、いつの間に後ろに。相変わらず表情筋仕事してないな」
「伏木蔵より名前の方が失礼だよ」
「いやだって…お前上級生になってから見た目ゴツくなったし、今年入学の一年生にも怖がられるの確定」
「えぇえ…今年も…?」
「涙目になるなよ。いいじゃん、食満先輩とお揃いだぞ?」
「そこは似たくなかったよ…」

でかい図体に無表情の癖に涙目で項垂れる平太に、背伸びして軽く頭を撫でてやる。
諦めろ、もうそれたぶんお前の宿命だ。

「わぁ?!」
「!伏木蔵、何があった?!無事か…?!」

少し目を離した隙に伏木蔵から悲鳴が上がり、俺は後ろを振り返り…その混沌とした、だが見慣れてしまった光景に閉口した。
涙目で伏木蔵に必死に謝る孫次郎と、ぼたぼたと鼻血を垂らしながらも死んだ目をした伏木蔵と、唖然とそれを見ている左吉。
…何だろう、何が嫌って何が起こったのか何となく推察出来る自分が嫌。

「ごめんねごめんねごめん伏木蔵ー…っ!違うんだよ、このグーは左吉に当てようとしたんだよ、何で飛び出してきたの?!」
「いいよ、孫次郎。わかってるよ…兵太夫の罠をすっごいスリルーって思って避けたらたまたまこの位置に来てしまった僕が悪いんだよ」

見事な説明口調ありがとう。

どうやら孫次郎の昏倒パンチが伏木蔵の顔面に保健委員の呪いゆえに当たった模様。あれは痛い。
そして孫次郎は何でいつも顔面パンチから喧嘩を始めようとするの?い組嫌いなのはわかってるけど、始め方がある意味男らしすぎて付いていけない。
伏木蔵の不運にも付いていけない。
ちなみに顔面パンチされるところだった左吉は伏木蔵のお陰でいつの間にやら無事逃げられたらしい。俺は伏木蔵はある意味い組の救世主的存在なんじゃないかと思った。

「あ、名前だ」
「あ、怪士丸だ」

俺が微妙に現実逃避していると、とにかく縦にだけ伸びたいくら食っても何故か太らない生きた不思議こと怪士丸と会った。あら、いつの間にかこれ六年ろ組いつもの面子大集合じゃないか。
怪士丸はきゃんきゃん騒いでいる孫次郎と諦めた顔の伏木蔵を一瞥すると、全てを理解したようにため息だけ吐いてまた俺を見た。怪士丸ぱねぇ。

「今日も名前は相変わらず顔だけは格好いいね」
「え、怪士丸さんそれ褒めてる?貶してる?」
「まぁ、僕はそんな名前が好きなんだけどさ」
「え、えぇえええ…?!ちょ、そんないきなり淡々と告白する?!せめて顔赤らめようよ!」
「名前煩い、黙って」

それ好きな人に言う台詞?!
もう話の流れわかんない!ろ組個性強すぎて付いていけない!皆自分の世界に生き過ぎ!俺置いてきぼり!と嘆いていると、まさかの怪士丸から追撃を喰らう。

「名前だって告白合戦になって一妻多夫は嫌でしょ?」
「ごめん、ちょっと何言ってるのかわかんない」

誰かー、助けてー!通訳呼んでー!

なんて話していたら平太がご飯行こうと俺の手を引いて、それに昔はずっと逆の立場だったのに!とまたも現実逃避と共に成長に感動していると、伏木蔵が名前は皆のものだよねー、と凄く反応に困ることを言い、孫次郎がいいじゃん、一妻多夫、とやっぱり俺のわからない話をして、怪士丸が仕方無いなという顔をした。

あれ、俺当事者なのに本当まるで話に付いていけてない。一年生の頃は以心伝心だったのに。今はなんか俺だけ通じない。
ううっ…もう一年生の頃に戻りたい…。


一周年お礼フリリク。ゆうや様へ贈呈


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -