男主短編 | ナノ




太陽が真上にあるまだまだ明るい時間に町の女の子連れ込んで正しく営み真っ最中な時、外から声も掛けられず突然部屋の襖が開いた。

「おい名前、お前この予算申請ふざ…………」

とりあえず俺は視線も逸らさない女心への配慮が足りない文次郎に、三禁は勝手だが空気は読もうぜ?やれやれ、と思いながら紳士的に女の子に顔と身体が文次郎から見えないよう自分の着物を被せた。

「親しき中にも礼儀あり、って事で…まぁうん、真昼間からシてるなんて思わないだろうしそこは俺も悪かった。でもとりあえずそのお話は後でよろし?」

俺が素敵な好青年の笑顔で言って態とらしく首を傾げると、文次郎は顔を真っ赤に染め上げ口をぱくぱくさせた。普段だったら何だその顔と腹を抱えて爆笑する所だが、女の子の手前そうもいかないので笑いの波を堪え口元を歪めるだけ。
文次郎はそんな俺の内心なんて当然知る由もなく、その顔のまま無言で壊す気なんじゃないかと思う程勢い良く盛大な音を立てて襖を閉めた。幸い壊れなかったが女の子が肩を跳ねらせる。やだ可哀想。

「…なんかごめんねー。お互い正直萎えただろうし、俺お茶淹れるから服着てるといいよ」

女の子からして見ればとんでもない場面を目撃されて衝撃だろうから、その頭を落ち着かせるように軽く撫でてお茶の用意を始める。
が、物音と気配の移動を不思議に思い背を向けていた俺が振り向いた時には、女の子は襖を開け放ち逃げ出すように走り去ってしまっていた。どうやら着物を着るや否やで逃げたらしい。俺は怒涛の展開に追い掛ける事も忘れぽかんとその背中を見送り、三十秒程経ってから漸く事態を呑み込んで大きく溜め息を吐いた。
折角淹れたお茶もぐちゃぐちゃに乱れた布団も放置して、女の子の身体を隠す為貸していた捨て置かれた着物を適当にさっと着て部屋を出た。俺の機嫌具合がいつも通りであれば真面目な顔してそして誰も居なくなったなんて呟いていた事だろう。

俺は同じ長屋内の目的の部屋までドスドスと音を立てて歩いて行き、サイテーに行儀悪く足で襖を開け放ってやった。

「ッ文次郎てめぇのせいで俺の色の補習台無しじゃねぇか!!マジっざけんなよ!!」

俺は部屋の中央の机を足でちゃぶ台返しした。問題の文次郎は固まってる。固まるしか出来ないんですかねェ?迅速で丁寧な土下座という最上級な謝罪をくださったなら俺の怒りもほーんのりとは鎮まったかもしれなかったんですが、文次郎君はそんな事も出来ないんですかねェ?
ん?紳士?それって女の子の前と授業やら仕事やらの時以外にする必要ある?無いよね??

「色の、補習…?」
「三日前に実習あっただろが。俺恋人との逢い引きと日にち重なっちゃって、そこは恋人優先させなきゃ男としてサイテーじゃん?ッもー!完全にあの子俺に惚れてたしやりやすかったのに補習やり直しじゃねぇかクソが!!」
「は?恋び、?」

恋人。と微かに俯きながら青い顔で小さく呟いた文次郎に、俺はその様子のおかしさに一時怒りを鎮めおやおや?と観察した。
俺の怒りに対して青くなったにしてはちょっと時機が擦れてね?今冷静に思えば最初俺の部屋に入って来た時も、コイツ無言で去るようなキャラか?一言謝るにしろ俺への文句にしろせめて捨て台詞ぐらいは吐きそうなもんだが、はて。
そういや恋人居るって言ってなかったかもなー…色が苦手ってもこの反応は…うーん。

「何?俺の事好きなの?」

冗談が七、八割。もしかしてが残りな割り合いで、試しににやっと笑って聞いてみた。

まぁ、結果は真っ赤ですよね文次郎の顔。
冗談の割り合いのが余裕ででかかったのにねー。さっきの名前も知らない補習相手の女の子の方を好きな可能性とかも考えてたんだけどねー。文次郎の反応分かりやす過ぎて聞くまでもないッスわー。

「ごっめーん、俺恋人の事普通に愛してるからさー。諦めて?」

返事は無いってか、完全に下向いて肩震わせてる文次郎に、なんか怒る気が失せたから帰って部屋を片付ける事にした。机ぶっ倒したまま去ると後で仙蔵に俺が怒られる恐れがあるが、俺悪くないしいいや。
まぁ仕方ないから文次郎の失恋に免じて今回の件に関しては不問にしてくれよう。俺って優しーなー!


三日後、俺の性格が最低とかいう根の葉もない酷い噂が広まって彼女に別れを告げられるなんてこの時の俺は思ってもみなかった。

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某夢サイト管理人な友人とのオフ会お遊びゲーム企画@
指定:潮江、相手の色任務真っ最中に部屋に入る、バッドエンド



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