すれ違いざま唾を吐けの続き
四年は組のフツメンかつ凡才代表な俺、苗字名前は今とてつもなく暇だ。暇過ぎて三年生苛めたい。
俺が何故そうまで暇を持て余しているのかと言うと、俺がだいたい行動を共にしている友人は何気なく作法委員で、そんな友人が急遽委員会の収集があったらしく、今日一緒に町行こうぜ!な俺の予定がさっき脆くも崩れ去ったからだ。
しかし立花先輩には何かただならぬオーラを感じる為文句は言いません。
そうして俺が一人寂しくとぼとぼ歩いているとなんか平に会った。
速やかに進路を、然り気無く避けるよう斜めにずらした。
「ん?苗字名前か」
「おう、平」
ちっ、見つかったか。コイツの自慢話の長さはいっそ殺意を覚えるからな。
…あ、でももしや。
「平も委員会で綾部居なくなって、休日暇になっちゃった人?」
「委員会?喜八郎なら…ほら、そこに居るがそれがどうした?」
「え?」
平が視線で指した方を見れば、確かに綾部が此方を凝視していた。
「委員会の事も聞きたいが、まず何故俺はあんなにガンつけられてんだ?」
「……さぁな、喜八郎に聞け」
平は呆れたような顔で居なくなった。平が冷たい。俺イズロンリーハーツ。
そして何故か平と入れ替わりに、ずいずいと綾部が俺に近づいてきた。
「こ…!」
「…こ?」
「こ、こんにちは!」
「…こんにちは」
どうしよう綾部の存在謎。挨拶するのに何でそんなに意気込むの?そして顔面同士の距離が約三寸。え、近くね?
…にしてもこの男の顔面、本当に卑怯だな。精巧な人形みたいだ。
あ、今なら顔面に唾吐きかけられ――すみません立花先輩しませんよしませんともそんな事ははは。
「…」
「…」
綾部の顔面に生まれたら無条件でモテそうだな。妬ましい。
「…」
「…」
「あれ?喜八郎君と名前君何してるの?」
斉藤さんが現れた。
俺は綾部から視線を外した――瞬間、綾部が崩れ落ちるように顔面を手で覆いながらしゃがんだ。
「?!あ、ああ綾部?!どした?!何、具合悪いの…?!」
「…名前呼ばないで、放っといて」
どうやら綾部が俺を嫌いらしい事が発覚した。心配しただけで呼ぶことさえ拒否。酷ぇ。
「うそ、後で名前は呼んで」
「お、おう?」
踞ったまま俺の顔も見ず訴える綾部。混乱した俺はとりあえず斉藤に視線で助けを求めてみた。
「二人は仲が良いんだねぇ」
おい、コイツの頭はお花畑か。今のやり取りで何故どうしてそうなった。
「?!喜八郎、真横から急に突進して来るな…っ!」
「名前の目は、ずるっこい」
「…ああ、あの後苗字と何かあったわけか。顔真っ赤だぞ」
「名前はきっと超能力使える…っ!」
「お前限定にな。ところで今日作法は委員会あったのか?」
「ない」
一周年お礼フリリク。楓様へ贈呈‐‐‐
名前君の友人は彼女と逢い引きの為に嘘吐いたよ!