とある同級生の嫉妬

私達が三年辺りの頃まで、私は白雪が嫌いだった。何故って、雷蔵が白雪の事を好きだったから。後はしいて言うなら白雪のあまりの人気に何となく嫌煙していた。それだけ。

天女と呼ばれる女が降ってきてからというもの、つまらない。原因はわかりきっていて、それから白雪が女に付きっきりだからだ。
白雪は、鉢屋君の話は嘘か本当かわからないけど面白いから好き、なんて言って私に寄ってくる変わり者だった。
私は昔からモテる…けど、白雪がそういう目的で変わり者を演じているわけじゃない事は明白だ。何故なら、白雪は老若男女も立場も問わず、誰にでも…いや、ただ一人を除き皆にそんな態度を取るからだ。立花先輩へのアレだけは謎だけど。
それが私にはもの珍しくて、自然と目で追うようになって、段々と嫌悪が好意に変わって、いつも白雪と話すのを楽しみにするようになっていた。


「白雪!」
「んー?あ!鉢屋君!」

天女と一緒に歩く白雪を見つけて名前を呼べば、白雪はいつもと変わらない笑顔で私を見て手を振った。
前までだったら、私が声を掛ける前に此方に気づいて寄って来たのに。鉢屋君、なんか面白い話ある?なんてにこにこと聞いて来たのに。

「どうしたの?」
「…」
「鉢屋君?」

なに?もう私の話、飽きたの?どうしたのって、いつもは私達の間に話す理由なんて要らなかったじゃないか。何余所見してるんだよ。今私と話してるのに、天女ばっかり気にして。
…ムカつく!

「あのさ、白雪その女だけど、」
「あああっ!椿さん!そっちは駄目です!蛸壺がいっぱいあるし、六年長屋は近づいちゃダメー!」
「え、そうなの?ありがとう、白雪ちゃん」
「私は椿さんの世話係ですから、当然です!」

私の言葉を遮って、白雪が叫んだその内容は天女の心配だった。
なに、何なのこの女。何がそうなのだ。何がありがとうだ。白雪の名前を勝手に呼ぶな。お前なんかが白雪を独り占めするなッ!

「ごめんね鉢屋君、またね!」
「…ああ、またな」

天女と一緒に歩いていく白雪を見送って、正確には天女の背中をひたすら睨んでから、私は深呼吸した。

私は馬鹿でも鈍感でもないから、私の気持ちを認めている。

「あの女、嫌い」

だって私は白雪が好きだから。

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