天女様の策略

忍たま乱太郎?ええ、知っていますよ?大好きでしたから。
夢小説?ええ、知っていますよ?大好きでしたから。
トリップ?天女?逆ハー?ええ、ええ、知っていましたとも!大好きでしたから!過去形ッ!!

私、椿秋葉は確かに生粋のドリーマーでありまして、漫画のキャラクターにきゃあきゃあ言うような自称乙女でした。昔の話です。正確に言えば、四年前までの。
大学に入学してからリアルで彼氏が出来まして、それからずるずると見事リア充へ戻れたのでした。当時の彼氏と別れてからも、何だかんだそれからはずっとリア充ライフ満喫したりして。


だから、何で今更トリップ?!落乱世界?!せめてリア充になる前にトリップさせろよ!せっかく死ぬ思いで就職内定もらえて…あ゛ー!

「どうかしましたか?椿さん」
「…いえ、何でも」

そうですか、と笑った彼女に椿の花が目の前で咲き誇った時のような感動が…私の名字、この子が名乗るべきじゃないだろうか。
トリップした先には、よくある王道のように忍たまが居たわけではなく、代わりにくのたまの超絶美少女が居た。名前を白雪華帆ちゃんという。五年生らしい。童顔気味だしアイドル顔だからアイドル学年かと思った。
私は薔薇にも百合にも興味がなかったので…こう、たまにその笑顔に惚けてしまうぐらいで済む。ただ、私の世話係にまでなってくれるという大変性格もよろしい彼女の隣に居れば…嫌でも気づく。いや、そこまで好条件が揃っているんだからわかりきっているんだけど。

白雪ちゃんは異性に大層モテた。

「白雪!」
「あら、竹谷君。どうしたの?」
「新しいうさぎが生物委員に来てな、今度見に来ないか?」
「行く!」
「白雪せんぱーい!バイト手伝ってくださぁい!いや、先輩はただ俺の横にいてくれれば売り上げ倍以上になるんで!」
「こんにちは、きり丸。うーん…時間ある時ならね。今は椿さんの世話係としてあんまり学園外には、」
「白雪!一緒にバレーしよう!」
「嫌でーす」

先輩後輩同輩、モテまくっている。
わかってる、わかってるよ。私に向けられる視線の冷たさ。節制の意味を持った、彼女に近づくなって目。

「白雪ちゃん」
「ん?何ですか?」

やっと二人きりになれたところで、私は彼女に呼び掛ける。

私は普通じゃない。それは絶対幼い時の胸くそ悪いどこにでも転がってるよくある過去のせいで…今となっては、実はそんな事もあったんだよ。と誰に言うでもなく心の内でたまにたまーに呟く程度だけど。
そう、私は酷く、目がいい。

「白雪ちゃん、大好きよ」

アナタもまた、私に向ける視線が一瞬冷たいって知ってる。
傍観夢とか、嫌われ夢とか、私知ってるから。自分が主人公じゃないかもって、ちゃんと考えられるから、

「私、帰りたいだけなんだ。それまでは、見棄てないでね?」

アナタの敵には、なってあげない。

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