俺にとっての最善解答

何かがおかしかった。

椿さんは、確かに白雪を好きで、何より元の世界に帰りたいからこんな大規模な事を起こした。
それに間違いは無いはずだ。だが。

「展開が…早過ぎる」

それは俺が付いていけないからなどという俺自身の問題じゃない。大体、俺は仙蔵程は天才じゃねぇがい組らしく頭が悪くはねぇんだ。会計委員長も楽じゃねぇし。
…つまりは、あまりにも椿さんは事を急いている。あれ程頭を回せるならもっと上手いやり方はいくらでもあったはずだ。
確かに俺は、潮江君は隠し事苦手そうだからと計画の半分程度しか聞かされていない。だが彼女の計画は恐らく、不確定要素を…はらみ過ぎている。

遠くで今にも泣き出しそうな声で叫ぶ白雪に、全てが揺らいだ。
椿さんの計画に、これはあったのか?あったとしたら余計おかしい。何故なら、本来の目的であるはずのものはこの時点で達成されている。

要するに、伊作を絡める必要は無い。今の白雪を仙蔵に会わせて全て終わりだ。

計画内なら、椿さんの目的は別となる。俺はあの女の思い通りに動いてはやらない。
それともこれは計画外?だとしたら、俺はどう動く?


「お願いします!誰か、二人の場所教えて…!!」

…俺は、白雪が好きだ。
お姫様やら砂糖菓子やら聞き飽きたそんな理由じゃなく、最初は行儀見習いの為に入学して来た癖にボロボロになるまでくノ一を目指して努力する、結局全ての理由がたった一人に繋がるまで愛し抜くその直向きさが、好きなんだ。

俺は、俺のしたいようにする。それは聞かされた計画に無い行動だが、きっとそれでも全て椿さんの思い通りだ。
多少癪だがそれでいい。

「白雪、仙蔵は此方だ。付いて来い」

白雪の手を取った。白雪は目を見開き、それからとても、とても嬉しそうに笑んだ。

「っはい!」

お前が幸せそうなら、隣は俺じゃなくていい。
白雪の手を引いて走る。今の俺にはきっとあの椿の花の扇子を燃やせるだろう。

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