絶対なんてない

目覚めた私の腕には縄さえ無くて、嘗めているのかと舌打ちした。小屋に軟禁状態とはいえ、侮辱も甚だしい。
乱れた髪に紐を解いて括り直す。前を睨んだ。

私はくのたま、白雪華帆。
どんな理由があるにせよ、忍術学園に反旗を翻す気なら容赦はしない。例え、一度自分が心から信じた人であったとしても。

小屋に一つだけの出入り口である固く厚そうな扉を、反動と遠心力を意識した飛び回し蹴りで破壊した。まだ粗くこのまま通れば尖った木片に肌が傷付きそうな扉を数回蹴り普通に通れるまでにする。
その過程で、少しは苛つきも収まった。深呼吸する。冷静になれ。冷静に、状況を分析しろ。

「…何のつもり?」

椿さんが私を閉じ込めたのは、私を傷つける気はなかったからだ。じゃなきゃ私を気絶させる時、謝らない。
椿さんを常に監視する私の存在が邪魔だった――となると、やっぱり椿さんはくノ一で、忍術学園を滅ぼしに?
いや、それは無い。椿さんの身体はあまりにも傷が無い。非現実的でも、異世界から来たか、もしくはお姫様かぐらいの綺麗な肌だ。

なら私を邪魔な理由は何?
異世界から来た彼女が、安寧を捨ててでも手に入れたいものは…?

「私が、邪魔な、理由――」

一瞬、過った顔があった。振り払う。
だってまさかそんな訳無い。

…無い?

この考えは、本当にあり得ないと足蹴にしていいもの?
一抹でもある不安要素を気にするのが私達でしょう?
そのまさかの考えがもし当たっていたら、当たっていたとしたら?


「っ立花先輩…!!」

私は走り出した。

やだやだ強力なライバルなんて要らないの…っ。貴女に敵うところなんて私、くのたまとしての強さしかない。
好きになるのは自由なんて解ってるけど、馬鹿な私に止める権利が無い事なんて知ってるけど、ごめんなさいどうしても嫌なんですその人だけは、やめて!!

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