現代平成でお過ごしの皆様、こんにちは。天女こと椿秋葉です。
世話係の白雪ちゃんには疑われてるけどかわいいからまだ許す、と思っていた矢先、事件は起こりました。
「…白雪ちゃん、その、何をしておいでで?」
「見てわかりませんか?」
えーっと…くのたまを小刀で滅多刺しにしていらっしゃますねーへへー…超怖い!
「…何ゆえ彼女は串刺しに」
「立花先輩と事務用件以上の会話をしていましたので」
にっこり笑う白雪ちゃん超かわいい。血塗れだけど。手は未だくのたまの腸抉ってるけど。光景あり得ないぐらいグロいけど。
私は気づいた。
この子は――ヤンデレだ。間違いない。
「白雪ちゃん、私立花君に一切近寄らないから殺さないでね?ね?!」
「はい」
私は全力で保身に走った。
白雪ちゃんのしている事は間違っているって教えてやれ?嫌よ!そんなのやりたい人がやれよ!私まだ死にたくないよ!
「椿さんが物分かりのいいお方で安心しました」
「あ、はは…」
立花君、頑張って。陰ながら応援してます。日向には出ません。助言もしません。自分大事です。
――なんて立花君を心配していた時期が私にもありました。
「…デジャヴ」
「やぁ、天女様。どうかしたか?」
「いえ何でも。私まだ死にたくないのでそれ以上近寄らないでね」
主に画面越しで見覚えがあり、トリップ後は私に殺気を向けてきた一人である忍たまが、たぶんもう事切れてる感じで立花君の足下に転がっている。
「お前を殺す気はない。これは白雪と事務用件以上話した報いだ」
「うわぁ、同じ台詞前も聞いた…。てか別に君に殺される心配じゃないから。君に近寄らないって約束してるだけだから」
そして破ったらもれなく私も殺されるだけだから。
私は目の前の惨状に理解した。
つまりコイツもヤンデレかよ。ヤンデレ×ヤンデレかよ。
「私はありがちな傍観してない傍観者じゃなく、本当に一切関わらないただ恐々傍観しているだけの傍観者を目指すから、関わらないでね」
とりあえず二人にこれだけは伝えた。二人とも解っていなさそうだった。だから巻き込むなっつってんだよ。
私は周りに迷惑どころじゃない二人の殺伐としたすれ違い方に、何でもいいから早くお前等くっつけよ。殺す前に告れよ。
と、思った。
口には出さない。傍観者なんで。
一周年お礼フリリク。藍瀬様へ贈呈