天女様の陥落

目の前で白雪ちゃんが俯き泣き出した。
誰かに見られたら速攻殺されるレベルでヤバい出来事だ。…うん、わかってる。わかってるよ?
それを踏まえて一言言わせて頂こう。

何この子超かわいい。

「白雪ちゃん、私とさ、ちょっと二人でお話ししない?」
「嫌です」
「即刻断られた。あのね、でも白雪ちゃん勘違いしてると思うの。まず立花君とか私年齢的に射程範囲外で、年上が好みだから」

まぁ立花君ならある程度は大人っぽいし、先を見越せばいけないこともないんだけど、それをわざわざ言うのはただの馬鹿だ。
いや待てそもそも私には元の世界に彼氏が居たんだった。年上でアホみたいな…。

「椿さんがそうだとして…」
「ああ、うん。言われなくても先がわかった。だが私の此処での嫌われ具合を嘗めないでくれ」

私の標準よりちょっといいぐらいの顔は化粧の力と自分への理解によって、我ながら上の中程度の見目の良さになっているだろうけど…それを凌駕する嫌われっぷり。殺気を感じない日がない。皆どれだけ白雪ちゃん愛してるんですか、おい。
私が心からの苦笑で言うと、白雪ちゃんはやっと顔を上げる。その顔は…うん、美少女って泣き顔がプラス要素になるね。私が百合っ気あったら三秒待たずに襲いかかっちゃっただろうね。

「…かわいく、なりたい」

何という嫌み。…本人真剣に顔歪めて言ってるから言わないけど!
今までたぶん百単位で白雪ちゃんみたいにかわいくなりたいって思った人いたはずだぞ。

「好きな人に、素直に好きって…言いたい」

一生懸命に言葉を紡ぐ白雪ちゃんに、さらに先を促すように優しく頷く。

「すきになってもらえなく、ても…っきらわれ、たくなぃ…」

年下の超美少女に泣きながらこんなこと言われて、アナタは無視できますか?

…私は無理だっ!

「白雪ちゃん、私が何とかしてあげる。だから一緒に頑張ろうね?」

白雪ちゃんを抱き締めた。
違う、変態じゃない。泣いている子を抱き締めるのは年上の当然の権利、いや慰め方だ。

「はい…っ!」

うんかわいいかわいい。よしよし、頑張ろうね!…と余裕をかましていたのも束の間、この後の白雪ちゃんの一言で、私の鉄壁の理性は陥落した。

「…椿さん、お姉ちゃんみたいです」
「よし是非ともお姉ちゃんと呼んでくれ」

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