とある六年生の敵対

「白雪!」

朝一番に白雪を見つけた私は、全速力で白雪の所まで走り寄った。

「小平太先輩、おはようございます」
「おはよう!白雪、何で此処にいるの?私に会いに来たの?」

自然と笑顔になりながら聞けば、白雪は曖昧に微笑んだ。白雪は今日もかわいい!
でもくのたまの白雪がこんな朝から忍たまの敷地に来るなんて珍しい。白雪は忍たまから好かれているけど、だからって白雪がよく此方の敷地に来るわけではないし。

「学園長先生の提案で忍たま長屋に住んでいます、椿さんを迎えに来たんですよ」
「椿?誰?」
「昨日降ってきました天女様の名前なんですけど…知ってますか?」

…うん、知ってる。白雪の隣にいたから。見てないけど。

「白雪、何で世話係になんてなったの?」
「えっと…根拠は無い話なんですけど、椿さんが来たのが私のせいかもしれなくて…それにくのたまとして監視もしやすいでしょう?」
「ふーん…ならいいけど、絆されないでね」

本当は良くなんてないけど、うわべだけ許して注意する。まぁ、白雪が絆されたなら、それはそれで正当な天女を殺す理由ができる。ムカつくけど。

「はい。それじゃあ私、そろそろ…」
「えー?!白雪、もう行っちゃうの?!」
「ごめんなさい、椿さん着物を着慣れていないので、着付けとか色々私がやらなければならないので」

何それ。着物を着慣れていない?そんなに貧しい子だったってこと?
でもだからって、世話係にしても何でくのたまの白雪がそんなことまでしなきゃいけないの?

「…じゃあ、私部屋の外で待ってるから、一緒にご飯食べよう!」
「いつまでかかるかわかりませんよ?」
「大丈夫!」
「椿さんも一緒で、いいですか…?」
「…うん!白雪がいるなら!」
「わかりました、いいですよ」
「やったあ!」

私は喜んで、白雪の手を握り天女の部屋まで他愛の無い話をしながら歩いた。
白雪と一緒に居たいのは本当。でも、天女を見極めなきゃってのもある。

一言断りを入れてから天女の部屋に入って行った白雪を待つ間、私は目を閉じた。
三択問題。もし正しい答えを出せたなら、天女は殺さない。一応他の六年にも言ってあげよう。聞く奴等ではないけど。

襖が開いた。白雪の隣にいる女に、薄く笑って口を開く。

「はじめまして、天女サマ。忍たま六年の七松です」
「ぃ!…椿秋葉、です」

笑顔で挨拶すれば、天女は肩を跳ねらせそれから人見知りでもしているように堅い笑顔で自分の名前を言った。
壊れない程度の強い力で手を握れば、細く悲鳴を上げられた。ぎゃあぎゃあ叫ばれたらうっかりそのまま手首を捻ってしまいそうだったから、よかった。

「あはは、すまんすまん!」
「すみません、椿さん。小平太先輩は普段から力加減がちょっと…。大丈夫ですか?」
「あ、はは。大丈夫ですよ」

なんだ、そう。大丈夫なの。捻挫ぐらいはすればよかったのに。

「椿サンは、白雪が好きか?」

嫌いなら、すぐに殺す。無感情なら数瞬間後には天にお帰り頂いて、もしも好きなら――

「好き、です」
「そっか、じゃあライバルだなっ!」

私はいつもみたいに豪快に笑った。好きにはなれないけど、ライバルなら私は嫌いには、ならないから。

椿サン、よろしくする気はないけど、ヨロシクネ?

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