最近は十四朗さんが総ちゃんを道場に連れて行くのが日課になっていた。今日は十四朗さんが来ないみたいで、私は近藤さんへの挨拶もかねて総ちゃんと一緒に道場に行く事にした。
「まぁ、あの子誰かしら?」 「…?」 「総ちゃんのお友達?」 「…いえ。」
道場に着く時、総ちゃんと同じぐらいの歳の子とすれ違った。近藤さんの親戚の子だと思ったので挨拶をした。
「こんにちは。」 「…っ!」 「……あら…。」
こちらを見るなり走り去ってしまった。その様子を見て呆けていたら「あいつ、姉上をシカトしやがった。」と総ちゃんが握ってる手を少し強める。
「おお!ミツバ殿と総悟じゃないか!今日はもう来ないかと思いましたよ。」
道場に着くと近藤さんが笑顔で出迎えてくれた。
「ふん、あいつさえ居なきゃ俺だって来る。」 「こら、総ちゃん。そんな言い方しちゃ駄目よ。」 「…すみません。」
ブスッとした総ちゃんが再び十四朗に突っ掛かる。十四朗さんは相手にしてない様子だった。 まあ、この子は…。 そんな2人を尻目に近藤が話し掛けて来た。
「そうだ、今日はミツバ殿に面白い話がある。」 「…?なんです?」 「トシがロリコンに目覚めた。」 「な訳ねぇだろ!」
会話に今まで参加十四朗さんが加わった。なんだか近藤さんと十四朗さんの掛け合いが面白くて笑ってしまう。
「こんくらいのガキを連れて来ただけだ。」 「…もしかして、」 「ん?ミツバ殿何か知っているんですか?」 「さっきすれ違ったんです。近藤さんの親戚の子だと思ったから声をかけてみましたけど、何か急いでたみたいで…」
私が言い終わる前に十四朗さんは立ち上がった。
「…近藤さん、ちょっと行って来るわ。 「ああ、早く帰って来いよ。」
十四朗さん、どうしたんだろう…。全く状況が掴めてない私達姉弟に「家族が増えるんだ」と近藤さんが言った。
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