「おい、トシ!その子どうした!」
「拾った。」
「拾ったって何?ちょ、トシィイイ!?」

行くぞ、とトシと呼ばれた男は私の手を引く。
その手はゴツゴツして固かった。

私はまだ子供で、だけど両親を家事で無くした。当然、行く宛ての無い私は山賊の鴨だ。身ぐるみを剥がされそうになった所をこの男に助けてもらったけれど。

このトシだかトムだがしらんが、この男は私を連れておんぼろ道場へ連れてやってきた。

此処は何処ですか?あなたは誰ですか?聞きたい事がたくさんあったけど、トシという男の顔が恐くて聞けなかった。

すると個室の前に止まって、トシという男が怖い顔で「入れ」と言った。


「…お、じゃま、します。」
「まあ、適当に座れ。」

トシさんが指して言った。そこに座れ、ということなのか。とりあえず座ってみる。


「はぁ。……あの、」
「テメェの名前はなんだ?」
遮られてしまった。まぁいっか。

「…なまえ。」
「そうかなまえ。俺は土方十四朗だ。好きに呼べ。」
「土方、十四朗…。」
「そうだ。あと、お前行くとこねぇんだろ。此処に住め。」

「わかりまし…たええええ!!」

「っうるせーな!!」





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