5時限目。お腹も満たされてクラス中の生徒が眠波によって脳内を犯されていく最中。俺はただひたすら黒板に教科書の内容を書き写していた。教室にはそのチョークの音が鳴り響いていて、余計に眠気を誘う気がした。最後の一文字を書き終えると生徒の方に振り返った。
すると、一人堂々と惰眠をおごる見馴れた少女が目に入った。
なまえだった。
面倒臭いが授業を中断してなまえを起こしに行く。


「…なまえ。おい、なまえ!」
「………。」
「お前、俺の授業でボケッとするなんていい度胸してるねい。」

…全く、寝るんだたっら家に帰ろい。

「……あ、パイナポー。」
「誰がパイナポーだゴラァ。」

今なら眉間のしわの深さを競う大会で一位取れそうな気がするよい。
反射的に持っていた教科書で寝ぼけているなまえの頭を素早く叩く。これで少しは目が覚めただろい。

「っいで!暴力反対!」

「っくく!なまえザマぁ。」

「エース!」

「授業中に居眠りとは尊敬するぜ。」

「エースだっていっつも早弁してんじゃん!」

始まった。
エースとなまえの絡みが。こいつらはなんせ授業妨害級の音を出して騒ぎ出す。それなら居眠りの方が断然可愛いげがある。今まで席を離してみたり、たんまり課題だしてみたりをみたり、色々試したが何の意味もなかった。

「なまえうるさいよい。次うるさくしたら出てってもらうからな。」

「ちょ!……。」

注意を受けたなまえはエースを睨みおとなしくなった。するとエースは若干つまらなそうな顔をした。

よし、授業を始められるよい。
教卓に戻り再び公式の内容の説明を始めた。
ほとんどの生徒がわからないといった表情を浮かべていた。しかしここら辺はしっかり覚えて欲しい。授業に熱がぐっと入る。

「いいか、この公式は重要だから覚えておけよ。」

後はこの公式を利用した問題演習をこなして終りだな。
俺は教室の壁時計を見て残り時間が10分あることを確認した。
「んじゃ次のページの練習問題やれい。」

すると生徒達が問題を解き始めた。俺は教卓を降りてなまえとエースに警戒しながら生徒達の机を回る。


「ね、エース。今のわかった?」
「当たり前だろ。」
「プリーズテルミー。」
「自分で考えろよ。」

来た。
なまえとエースが話し始めた。
お前ら黙ってられない入学間もないピカピカの小学一年生か。しかもそれで小さな声出してるつもりなんだろうけどな、結構響いてるからな。気づけよい。

「えー、ケチ!いいもん!隣の角田君(ガリ勉)に教えてもらうから。」
「おい待てよ、俺が教えてやる」
「おい、てめぇらうるせーんだよい。もういい、回答始める。」
「じゃあマルコ、エースに答えてもらうと良いよ!」
「は!?なんでだよ。」
「こっちも願い下げだよい。…?」

教室の外から視線を感じて顔を向けるとサカズキ先生(生徒指導担当)がいた。よく見ると俺を呼んでいるようだった。
あの先生苦手なんだよ…。俺はとりあえず、生徒に今日の授業を見直すように伝えて教室を出た。

「…なんですか?」
「お前んとこのクラスうるさいんぞ。授業にならん!」
「…すみません。」
「ったく、気の抜けた返事しおって。次うるさくしたら、…わかってとるな。」

サカズキ先生は俺を終始睨みつけていた。俺はサカズキ先生の威圧感に押されぎみだった。用件が済むとさっさとと帰っていった。
ってかなんで俺が怒られてんの?


教室の中に入ると授業の終りを告げる鐘がなった。
「あ、マルコお帰り〜!」
「…なまえ、後で。職員室来いよい…。」
「えぇぇ…!」

…授業、全然進まなかったよい…。今度からなまえは寝ても放置しよう。そう心に決めたマルコであった。


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